第13回 彦根企業景況等調査報告

彦根商工会議所では、会員企業の景況や経営課題などを四半期ごとに調査する「彦根企業景況等調査」を実施しております。このほど第13四半期（令和6年4〜6月期）の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
本調査では、当所会員200社を対象に売上高、仕入・販売単価、従業員・資金繰り等について前年・前期比並びに来期見通しをDI（ディフュージョン・インデックス）値で示すとともに、自社の経営課題等も調査項目にしております。

調査方法:彦根商工会議所会員企業200社にメールまたはFAXによる
調査対象期間:令和6年4月～6月
集計・分析（委託先）:中小企業診断士 中川 学 氏
回答企業数:87社（回答率66.9％）

※本調査でのDI（ディフュージョン・インデックス）「増加（好転・上昇・過剰等）」と回答した企業数の構成比から、「減少（悪化・低下・不足等）」と回答した企業数の構成比を差し引いた値である。
※今期（前期比）:令和6年1月～3月と比較した令和6年4月～6月の状況
※昨年比:令和5年4月～6月と比較した令和6年4月～6月の状況
※次期:令和6年4月～6月と比較した令和6年7月～9月の見通し

1. 全体の景況等

大きく悪化に転じた前期に比べて、今期の「業況判断DI（好転－悪化）」、「売上高DI（好転－悪化）」、「採算DI（好転－悪化）」はやや回復し次期もさらに回復が見込まれるが、サービス業以外は好転には至らない。
「仕入単価DI（上昇－低下）」は、上昇が継続しており次期も継続する見通し。「販売単価DI（上昇－低下）」は、上昇幅を拡大し次期も継続する見通し。
「資金繰りDI（容易－困難）」は、前期に比しやや回復し次期はさらに回復する見通しも、建設業、飲食業は依然困難な状況が継続している。「従業員DI（過剰－不足）」は前期に比しさらに不足傾向が拡大。
今期に直面した経営上の問題点は、「原材料価格の上昇」についで「人件費の増加」が多く、ついで「原材料・人件費以外の経費の増加」、「従業員の確保難」が多かった。
重点的に取り組もうとしていることで支援を求めたいことは、「積極的な人材採用・活用」「社員の育成」が多く、ついで「販売価格の見直し」「既存顧客との関係強化」「SNS活用を通じた販路拡大」が多かった。

2. 業種別の景況等

建設業

売上高がなかなか回復せず、長期にわたる仕入単価の上昇が採算を圧迫している。また、従業員確保難が深刻で、積極的な人材採用・活用に支援を求める。

製造業

前期に大きく悪化に転じ今期も悪化を示すものの、次期には業況判断、採算が回復し売上高は好転する見通し。原材料価格の上昇を販売価格へ転嫁することが課題で、既存顧客との関係強化、生産性向上のための設備投資に支援を求める。

卸小売業

業況判断、売上高、採算はいずれもマイナス幅を縮小し、次期にはさらに回復する見通し。経費の増加、顧客の減少が懸念され、新商品・新製品の開発、既存顧客との関係強化、販売価格の見直しに支援を求める。

飲食業

売上高は好転に転じたものの、仕入単価の上昇により、採算は悪化。次期も継続する見通し。原材料費をはじめすべての経費が増加し、販売価格への転嫁が課題。SNSを活用した販路拡大、販売価格の見直し、労働環境の整備・改善に対し支援を求める企業が倍増した。

サービス業

仕入単価の上昇の影響を受けにくいことから、業況判断、売上高、採算のいずれも好転。次期は業況判断がさらに好転する見通し。人件費の増加、従業員の確保難が問題で、社員の育成、積極的な人材採用・活用に支援を求める。