近江鉄道線の再生を目指し、三日月大造知事や沿線市町の首長らが話し合う「近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会」の4回目の会議が東近江市内であった。
会議では事務局から利用者らへのアンケート調査の結果として、近江鉄道線の利用実態を報告。その主な内容は以下の通り。

  • 沿線高校の学生の約2割が通学で近江鉄道を利用。自転車が6割強の最多で、次いで自動車が約4割。
  • 沿線事業所の従業員は約3割が通勤で近江鉄道を利用し、自動車が約7割で最多。
  • 利用目的で最多は「観光・レジャー」の約3割で、次いで「飲食・娯楽」が約2割弱。
  • 近江鉄道を利用する場面で最多は「自動車で送迎してもらえない時」の約3割で、自動車の次として位置づけられている。
  • 近江鉄道を利用する学生の代替手段としては「自動車(家族等の運転で送迎)」が約6割の一方、約3割が「通えなくなる」と答えた。

近江鉄道線の利用状況、将来の展望、住民の関心など主な彦根市の課題と問題意識としては以下の通り。

  • 彦根駅はJRとのダイヤの接続の維持が必要。
  • 彦根口、高宮、ひこね芹川、鳥居本の各駅は地域公共交通ネットワークの一部として機能することが期待。
  • 彦根口駅は彦根翔西館高校の開校で利用者が増加しているが、駅舎やトイレが取り壊されており、また自転車駐車場も未整備のため整備の検討が必要。
  • 国の登録有形文化財の鳥居本駅の活用とトイレの修繕の検討が必要。
  • 各駅が旧来の住宅地の付近に位置していることが多く、古い市街地の空き家対策など人口減少対策を行う必要がある。

利便性の向上策の検討候補としては以下の通り。

  • 運賃や通学定期券の値下げ
  • 割引切符、企画切符の導入
  • 運行本数の増便
  • 所要時間の短縮
  • 乗り継ぎの改善
  • 車内設備・乗り心地の改善
  • キャッシュレス化(ICOCA等対応)
  • 駅周辺の駐輪場および駐車場の整備
  • 駅設備の改善(バリアフリー化、待合施設、トイレ改修)
  • 通学定期券の購入補助

最後に事業者、行政、地域住民が連携した近江鉄道線の利用促進策の検討を行うため、沿線市町、滋賀県、近江鉄道の若手の職員・社員を委員とする「利用促進策検討分科会」の設置も報告された。
9月から4班に分かれて利用促進策のアイデアを出し合い、乗客へのインタビューや沿線住民を加えたワークショップ、県庁若手職員との意見交換を行いながら、新たな利用促進策を試行していく。