近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会の8回目の会議が東近江市役所で開かれ、「近江鉄道沿線地域公共交通計画」が公表された。
近江鉄道の鉄道線は1994年度から赤字が続いており、県や彦根市を含む沿線5市5町などは再生を目指し2019年11月に法定協議会を設置し、翌年3月に全線の存続を決定。昨年12月に運営形態を公有民営の「上下分離方式」にする方針が確認された。今年3月には沿線自治体の費用負担を東近江が20.67%、彦根が8.91%で、以下が甲賀5.85%、近江八幡3.81%、日野3.02%、愛荘2.15%、豊郷1.57%、甲良1.47%、多賀1.31%、米原1.24%、県が残り50%を負担することが決まった。
今月初旬に開かれた会議では事務局の滋賀県から近江鉄道沿線地域公共交通計画の案が公表。計画の中では、沿線市町の公共交通における課題として、
- 沿線市町のまちづくりに資する公共交通ネットワークの形成
- 近江鉄道線の安全で安定的な運行体制の実現
- 近江鉄道線の利用を支える通勤・通学需要の維持
- 観光・集客資源等と連携した地域公共交通の利用促進
- 地域公共交通を自ら守り、育てようとする気運の醸成
- 公共交通機関の利用による環境負荷の低減
が提示された。
基本方針は以下の通り
- 近江鉄道線を再生・活性化する
- 近江鉄道線の二次交通を充実する
- 近江鉄道沿線のまちづくりを進め、地域を活性化する
- 関係者が連携・協働して地域公共交通の利用を促進する
- ICT等の活用により多様なニーズに対応する
目標達成へ重点事項19項目
基本方針を実現するための具体的な目標のうち、主な内容は以下の通り。
- 近江鉄道線の利用者数を2020年度の約370万人から2023年度に約459万人にする
- 近江鉄道の駅に接続するバス・デマンド型交通路線の利用者数を2020年度の約351万人から2033年度に約416万人にする
- 沿線市町の自動車の交通手段分担率を67.8%以下にする
- 通学において「自動車(家族による送迎)」を使う割合を40.8%以下にする
- 近江鉄道利用者の利用満足度を現状より増加させる
目標を実現するために取り組むべき施策および事業のうち重点事業として、
- 安全運行を確保するための施設・設備の維持・整備
- 上下分離方式による運営体制への確実な移行
- 鉄道事業再構築実施計画の策定
- 通学定期券の購入促進
- 新駅設置など利便性向上
- キャッシュレス決済の導入
- ふるさと納税制度の活用
- 人の移動実態の定量的な把握・分析
など19項目をあげた。
最終的には委員全員から異論なく、近江鉄道沿線地域公共交通計画が決定した。