協定書を手に滋賀大学と彦根工業高校の関係者

文部科学省の「マイスター・ハイスクール」事業の指定校になっている彦根工業高校は今月、滋賀大学とミシガン州立大学連合日本センターと、それぞれ連携協定を締結した。
マイスター・ハイスクール事業は地域産業の持続的な成長に向け、技術系の専門高校と産業界とが一体となって、最先端の職業人材育成システムを構築するため、文科省が全国各地の専門高校を指定し、2021年度から3年間、実践的な研究を進めていく取り組み。
彦根工業高校は今年5月に滋賀県内で唯一指定された。彦根市や彦根商工会議所、市内大学と連携し、伝統技術と最先端技術が共存する彦根市の産業界に貢献できる人材を育成していく。
主な学習内容は以下の通り。

  1. 学校設定科目「近江マイスター」=産業社会の未来を知るため大学での学習、先端技術を知るための企業での学習、外部講師を招いてのものづくり体験、キャンプ等によるリーダー育成により、ものづくりの重要性と創造性を身につけるとともに地域の未来を担う人材の育成を目指す。
  2. 「長期インターンシップ」=勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ、望ましい勤労観、職業観の育成や社会奉仕の精神の涵養に加え、自分の目指す専門性や自分の特徴を生かせる企業により体験し、問題解決や企業の求める課題解決をできるような体験とする。
  3. 「デュアルシステム」=彦根地域の産業界と連携し、将来有能な人材を育成するために、学校と企業の両方で専門技術について学ぶ仕組みとする。学校や生徒の要望を受け入れる外部機関等の要望をすり合わせ、効果的なコーディネートができるシステムの構築を目指す。
  4. 「カンパニー制」=生徒に少人数のグループを形成させて、ものづくりや社会に貢献できる企画をさせる。経営者的な視点を持ち、未来の産業社会に主体的に携われる力や企画力、リーダーシップ、オーナーシップ、アントレプレナーシップ、コミュニケーション力、オリジナリティーを育てることを目標とする。

データ分析学ぶ 滋賀大と課題抽出

滋賀大学との協定締結によって、彦根工業高校の生徒は、

  • 滋賀大学が持つ企業経営の基礎、マーケティング、データ分析のノウハウを活用して、ものづくりに取り組む基礎知識を学ぶ。
  • 大学教員と対話を通じて地域の課題を抽出し、解決するアイデアを探し出す。そして、それがビジネスにつながるかどうか、地域が活性化できるかどうか検証しながらものづくりのテーマを探る。
  • 小グループでテーマを決め、実際に製品開発等を行い、クラウドファンディング等を利用しながら製品評価データの分析をするなどマーケティング調査を行う。
  • 将来的に大学のゼミでの研究に触れる機会(企業インターンシップのような形)を短期間設け、「大学で研究を深めたい」という意欲を醸成する。

締結式では滋賀大の位田隆一学長と彦工の大久保貴生校長が協定書と覚書にサインした。

英会話の能力向上へ ミシガン大教員派遣

協定書を手に彦根工業高の大久保校長とミシガン大のマクラケン所長

また彦根工業高校はマイスター・ハイスクール事業の一環で、海外業務に対応できる英語力や国内の外国人労働者とのコミュニケーション能力の育成に向け、ミシガン州立大学連合日本センターとも連携協定を締結した。
締結により、ミシガン州立大学連合日本センターから派遣された教員が選択科目「ブラシュアップ英語」で、英語でのコミュニケーションの仕方を教える。
締結式ではベンジャミン・マクラケン所長と大久保校長が協定書にサインした。