アケボノゾウの復元骨格の前で行われたくす玉割り

多賀町四手で1993年に発見され、多賀町立博物館で展示されている約180万年前の「アケボノゾウの化石多賀標本」が今月17日、国の天然記念物に指定されることが決定した。18日に館内で記念セレモニーが開かれた。
アケボノゾウを含むゾウ類は約5000万年前に北アフリカに出現した種類が起源とされる。日本列島では岐阜県で発見された約1900万年前のアネクテンスゾウが最古。以降は約500万年前の宮城県のセンダイゾウ、約430万年前の三重県のミエゾウ、そして石川県戸室地区で見つかった上あご臼歯を模式標本とする約250万年~約100万年前のアケボノゾウ、見つかっているゾウ類の化石の6割を占める約2万年前に絶滅したナウマンゾウ、北海道でしか見つかっていない2万年前以前のマンモスゾウなど、国内では9種類のゾウの化石が全国約400カ所で確認されている。
多賀町では1993年2月中旬に四手の工事現場でアケボノゾウの化石が発見。頭部、体幹、体肢など全身の7割におよぶ部位191点の骨から成り、右手のようにすべての骨がつながった状態での発見は世界的にもまれだ。そのうち112点は1999年に開館した多賀町立博物館で公開展示してきた。2013年からは「多賀町古代ゾウ発掘プロジェクト」と銘打ち、アケボノゾウが暮らしていた当時の自然環境について研究や教育活動をしてきた。

多賀で発見されたアケボノゾウの化石(多賀町立博物館提供)

「シガタガゾウのサト」盛り上げへ町民が団体結成

記念セレモニーで多賀町立博物館の小早川隆館長は「全国的に見ても貴重な化石であり、それが認められてうれしい。これからも日本一の化石だと発信し続けたい」と話した。久保久良町長のあいさつ後、琵琶湖博物館の高橋啓一館長は「7割の個体が見つかる化石はあまりなく、非常に価値がある。住んでいた環境を一緒に調査する活動もすばらしい」と称えた。最後には地元の子どもたちを交えて、アケボノゾウの復元骨格の像前でくす玉割りがあった。
記念セレモニー後には地元住民たちの団体「シガタガゾウのサト」の結成式も開催。来年3月の国の天然記念物の正式決定に向けて、盛り上げる取り組みを進めていく。サポートメンバーも募集している。問い合わせは多賀町立文化財センター ☎0749-48-0348。