リーマンショックで経済が低迷した際に「年越し派遣村」の運営者として有名になった、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京都新宿区)理事長の湯浅誠さんが今月8日、彦根市安清町の料亭旅館やす井で「こども食堂と私たちの地域・社会」をテーマに講演した。
企画した主催団体は花しょうぶ通り商店街振興組合。「食×住=まちづくり・人づくり」と題し、昨年11月20日から4回連続講座として開講。最終回として湯浅さんの講演会を企画した。
湯浅さんは東京大学法学部卒。1990年代からホームレス支援に従事。リーマンショックで「派遣切り」が社会問題化した2008年12月31日から翌年1月5日まで、東京都の日比谷公園で湯浅さんが「村長」となり、生活困窮者が年を越せるように「年越し派遣村」を開設した。2009年から3年間、内閣府参与に就き、震災ボランティア連携室長などを務めた。2014年から2019年まで法政大学の教授を歴任した。

コロナ禍も1000件以上増

講演の中で湯浅さんは、全国のこども食堂が毎年1000件以上ずつ増えていると報告した上で「特にここ2年はコロナ禍で人が集まれない中で増えていることは驚くべきところだ」と紹介した。
名称に「こども」が入っているが、96%のこども食堂が保護者や地域の高齢者も利用していることを示し「誰もが集える公園のように多くの人を受け入れる場所になっている。多世代交流によって、貧困の連鎖の断ち切り、虐待予防、高齢者の健康づくりなどにもつながる」と説明した。
18歳以下の約2000万人のうち「子どもの貧困」が13.5%の約270万人とのデータをあげながら「そのうち明らかな貧困の約10万人の赤信号の子どもは目立つが、圧倒的多数は目立たない黄信号。こども食堂は黄信号の子どもとの接点にもなる」と語った。