はじめに

令和6年12月17日、令和6年度補正予算が成立し、今後の中小企業に向けた補助金の内容が明らかになってきました。今回は代表的な補助金制度についてその改正内容や申請要件についてご紹介します。なお本記事は2025年2月末時点の情報に基づきますので、各制度の詳細は今後公表される公募要項等をご確認ください。


小規模事業者持続化補助金 [継続]

事業目的

小規模事業者等が経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等を支援します。対象は小規模事業者*に限定されますので、ご注意ください。 *従業員数が商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)では5人以下、宿泊業・娯楽業・製造業その他では20人以下の事業者

主な改正点

  • 政策の原点回帰を行い、経営計画の策定に重点化するため、複数ある特別枠を整理し、「卒業枠」「後継者支援枠」が廃止され、「一般型」(通常枠)「創業型」に集約されました。
  • 通常枠における補助上限50万円、補助率2/3は変更なく、インボイス特例・賃金引上げ特例を併用することで、補助上限が250万円にまで上乗せ可能。
  • 創業3年以内の小規模事業者に対する創業枠は、「創業型」として存続しました。
  • 地域に根付いた企業の販路開拓を支援する地域振 興機関が、小規模事業者(参画事業者)を10者以上集め、販路開拓を支援する「共同・協業型」が新たに設置されました。

*申請には商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書」が必要ですので、公募時期を確認後、早めにご相談ください。

申請類型補助上限額補助率
一般型通常枠50万円2/3
(賃金引上げ特例を選択 した事業者のうち、赤字事業者は3/4)
インボイス特例補助上限額に50万円を上乗せ
賃金引上げ特例補助上限額に150万円を上乗せ
創業型200万円
インボイス特例活用で250万円
2/3
共同・協業型5,000万円参画事業者は2/3
地域振興等機関は定額

ものづくり補助金 [継続]

直近申請期間:4月11日(金)〜4月25日(金)

事業目的

中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた革新的な新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援します。補助対象経費として「機械装置・システム構築費」の申請が必須です。

主な改正点

  • 足下の賃上げ状況等を踏まえ、基本要件が見直されました(給与支給総額の年平均成長利率に関する要件を引上げ等)。
  • 申請類型を、革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化を要件とする「製品・サービス高付加価値化枠」と、海外事業の実施による国内の生産工場を要件とする「グローバル枠」に集約されました。「省力化(オーダーメイド)枠」は、後述する省力化投資補助金(一般型)へ移行しました。
  • 中小企業等の企業規模に応じた投資ニーズに対応するため、補助金額に係る従業員規模区分を見直し、補助金上限額を一部拡充しました(従業員21人以上の事業者は大幅に増額)。
  • 「収益納付」は求められなくなりました が、基本要件(給与支給額の年平均成 長率、事業所内最低賃金等)が未達な場合、補助金の返還を求められる場合があります。
申請枠従業員数別 補助上限額
*カッコ内は大幅賃上げ特例
補助率
*カッコ内は最低賃金引上げ特例
製品・サービス高
付加価値化枠
5人以下 750万円 (850万円)
6〜20人 1,000万円 (1,250万円)
21~50人 1,500万円 (2,500万円)
51人以上 2,500万円 (3,500万円)
中小企業1/2(2/3)
小規模・再生 2/3
グローバル化枠3,000万円中小企業1/2(2/3)
小規模 2/3

新事業進出補助金 [新設]

事業目的

既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援します(従来の「事業再構築補助金」の後継と言えますが、補助金額は増額されています)。

活用イメージ(出所:中小企業省力化投資補助金チラシ)

  • 機械加工業でのノウハウを活かして、新たに半導体製造装置部品の製造に挑戦
  • 医療機械製造の技術を活かして蒸留所を建設し、ウイスキー製造業に進出 

本補助金を活用するには、既存事業の強みを活かしつつ新規事業に挑戦する必要があります。

基本要件

中小企業等が、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行い、基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。要件はものづくり補助金とほぼ同じで、付加価値額の年平均成長率、1人あたり給与支給総額の年平均成長率又は給与支給総額の年平均成長率、事業所内最低賃金などの要件の他、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等となっています。

*従来の事業再構築補助金は現在公募中です(締切3月26日)。申請を希望される方は早期に手続きください。

従業員数別 補助上限額
*カッコ内は大幅賃上げ特例
補助率
20人以下 2,500万円 (3,000万円)
21~50人 4,000万円 (5,000万円)
51〜100人以上 5,500万円 (7,000万円)
101人以上 7,000万円 (9,000万円)
補助下限:750万円
1/2

省力化投資補助金(一般型)[新設]

直近申請期間:3月19日(水)〜3月31日(月)

事業目的

人手不足に悩む中小企業等が、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果があるデジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)を導入するための事業費等の経費の一部を補助することにより、省力化投資を促進して中小企業等の付加価値額や生産性向上を図るとともに、賃上げにつなげることを目的とします。

オーダーメイド設備とは

オーダーメイド設備とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のことを指します。なお、汎用設備であっても、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、汎用設備を組み合わせて導入することより高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には、オーダーメイド設備であるとみなします。

活用イメージ(出所:中小企業省力化投資補助金チラシ)

  • 通信販売事業で、オンラインショッピングの顧客数及び購買量に対応するため、自動梱包機及び倉庫管理システムをオーダーメイドで開発・導入
  • 自動車関連部品製造事業で検査が難しい微細な自動車関連部品の製造を効率的に行うため、最新のデジタルカメラやAI技術等を活用した自動外観検査装置を事業者の現場に合わせた形で導入
従業員数別 補助上限額
*カッコ内は大幅賃上げ特例
補助率
*カッコ内は最低賃金引上げ特例
補助金額1,500万円まで1,500万円超
5人以下 750万円 (1,000万円)
6~20人 1,500万円 (2,000万円)
21〜50人 3,000万円 (4,000万円)
51〜100人 5,000万円 (6,500万円)
101人以上 8,000万円 (1億円)
中小企業1/2
(2/3)
1/3
小規模・再生2/31/3

その他

「省力化投資補助金(カタログ注文型)」「IT導入補助金」「事業承継・M&A補助金」についても、継続して募集されています。また売上高100億円を目指す成長志向型中小企業を支援する「中小企業成長加速化補助金」が新設されました。


中小企業相談所からのご支援

彦根商工会議所では、認定経営革新等支援機関として会員企業様に対して事業計画や申請書の作成を支援させて頂きますので、お気軽にご相談ください。なお各補助金の情報は当所ホームページ等でも随時ご案内しますが、申請書類や申請方法、申請開始時期等の詳細は、各補助金事務局のホームページ等をご確認ください。