5年に1度、日本での開催は20年ぶりとなる国際機関公認、世界規模のイベント「大阪・関西万博」(正式名称:2025年日本国際博覧会)が、4月13日についに開幕を迎える。
大阪の夢洲を会場に10月13日までの184日間、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした様々な催しが実施される予定だ。
世界各国からの来訪も期待され、来場者見込みは6か月間で2820万人。経済波及効果は約2.9兆円と万博が経済界に与える影響は大きい。
滋賀のブース出展(関西パビリオン)をはじめ、当所会員企業も参画している大阪・関西万博について、見どころや注目すべきポイントを紹介していく。
※沖縄海洋博(75年) 、つくば科学博(88年) 、大阪花博(90年)は、分野を絞った「特別博」「認定博」。国際機関公認だが「登録博」とは別区分。
国や国際機関からの参加 160超え!
「万博」とは世界中から沢山の人やモノ、技術が集う場所として、過去にはエレベーターや電話、電気自動車やAEDなど、現在当たり前に普及している新技術や商品が様々紹介されてきた。今回の万博は、現代においてSDGsに掲げる数々の社会課題に取り組むために、160を超える国や国際機関が集まり、共創し発信する“未来社会の実験場”として実施される。
会場の建設にはリサイクル素材を活用し、エネルギーの大半を再生可能エネルギーで賄う計画で、無給配電のEVバスや空飛ぶ車のほか、自立型ロボットや自動翻訳アプリなど、様々なジャンルの国内最先端技術や日本独自の文化が集う。また、主催国として政府は各府省庁の施策を総結集したアクションプランを制定しており、今回の万博で体験することができる。近未来を知りビジネスに活かすチャンスでもある。
万博の目玉は
1970年の大阪万博では「月の石」や「太陽の塔」が話題となった。経産省の万博担当によると、今回はこれこそが目玉、というものは無いと言い切ったほうが誤解が生まれないとし、次のように続けている。
iPS細胞で作製された脈々と拍動する「人工心臓」も、火星から数万年以上前に飛来した「火星の石」も、現代の「お宝」と言える貴重な展示だが、万博で見られるもの、体験できるものは、一つや二つの物で代表して語るには少し無理がある。
CO2を抑制する技術が社会実装され、カーボンニュートラルが実現した未来社会。ロボットとAI技術が融合したデジタル社会のその先。未来のヘルスケア技術で病や障がいが克服された世の中。万博会場は、そうした多種多様の社会課題が解決されていく、たくさんの未来を先行体験できる「未来社会のショーケース」。だから「今回の万博のエースは、これ」と決めつけたくない。訪れる人それぞれにとってのかけがえのない唯一無二の万博体験が見つかるはずだから。(経産省METI Journalより一部抜粋・要約)
世界最大級の木造建築である大屋根リングをはじめ、宙に浮く靴、自動で度数が変わる眼鏡、人気ゲームの世界への没入体験といった夢のような技術のほか、至るところで毎日特別なイベントが実施される。そして夕暮れ時には光と音とドローンのショーと、朝から晩まで、会期中何度行ってもいつ行っても違った角度で学び、知り、楽しむことができるのが今回の万博の特徴のようだ。経産省の発信するウェブマガジンでは、様々な万博の魅力を分かりやすく紹介している。
彦根商工会議所会員事業所も参画する国内・民間パビリオンの中から一部紹介!
日本館、ウーマンズパビリオン、大阪ヘルスケアパビリオン、関西パビリオンのうち、関西パビリオンでは滋賀県を含む9府県がそれぞれ「いのち輝く関西悠久の歴史と現在」をテーマに様々な展示を行う。他にも笑顔から生まれる幸せを体感できる「よしもと waraii myraii館」や、ガンダムを通じて新たなテクノロジーや宇宙について興味を持つきっかけとなるような「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」など13の民間パビリオンがある。
関西広域連合
「いのち輝く関西悠久の歴史と現在」をテーマに滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、徳島、福井、三重の魅力を発信。外観は灯籠をイメージした六角形であり、切り絵をデザイン。
滋賀県のブース展示
滋賀県では会期中、関西広域連合が設置する関西パビリオン内にブースを出展。
ここがポイント
新開発の「キネティック・ライト・ビジョン」を用いた光のアート。無数の光る球体が上下し、滋賀の映像風景と連動した空間演出で、びわ湖と滋賀の四季を体感いただきます。
「電力館 可能性のタマゴたち」電気事業連合会
「エネルギーの可能性で未来を切り開き、いのち輝く社会の実現へ」をテーマに、2050年カーボンニュートラルのさらにその先を見据え、社会の基盤を支える電力業界ならではの視点で未来社会を描く。 来館者は、さまざまな色に光るタマゴ型デバイスを首から掛けて館内を巡り、タマゴと映像・空間の連動による新たな発見や好奇心を高める体験展示、大空間での光と音による没入型展示を通じ、未来におけるさまざまなエネルギーの可能性に出会うことができる。
タマゴ型デバイスは、素材に卵の殻や貝殻等の廃材を使用。展示内容や体験に応じ、様々な色に光ったりふるえたりして、エネルギーの可能性を探す来館者を手伝う。目の前に映る家電や車など電気で動くものに対して、離れたところから無線で電気を発射するシューティング型の「無線給電」など、約30の体験展示を通して、全身で未来のエネルギーの可能性を体感することができる。
2025大阪・関西万博パビリオン「電力館 可能性のタマゴたち」
「ガスパビリオン おばけワンダーランド」一般社団法人日本ガス協会
「化けろ、未来!」をコンセプトに、XRゴーグルをつけて「おばけ」たちと一緒に、未来へ向かって「化ける」ドキドキ・ワクワクな体験のできる来場者参加型のエンターテイメントパビリオン。カーボンニュートラル社会の実現に向け、私たち一人ひとりが意識や行動を変える(化ける)ことの大切さを伝えながら、「e-メタン」をはじめとするガス業界の未来に向けた取り組みを紹介。来場者が新しい気づきや行動を変えるきっかけが得られる仕掛けを用意している。
最新のXR(クロスリアリティ)技術により、来場者はおばけの姿に変身して、現実の世界から拡張現実(AR) 、仮想現実(VR)の世界へとボーダレスな没入体験をすることができる。また、大阪・関西万博バーチャル会場に出展する「バーチャルガスパビリオン」では、いつでも世界中のどこからでも「おばけワンダーランド」を舞台にしたアドベンチャーゲームをオンライン上で楽しめる。
「NTT Pavilion」日本電信電話株式会社
PARALLEL TRAVEL –パラレル トラベル–という時空を旅するパビリオン。 2030年に社会実装を目指すIOWNという空間伝送技術で、映像や音声だけでなく、離れた空間そのものや、離れた場所にいる人やものの感覚を共有する体験を通じて物理的な距離や離れているという心理的なカベを超えた未来の体験や通信の可能性を見ることができる。
パビリオンエントランス空間を覆う「天蓋」は、NTTグループ社員が一緒に作るワークショップで制作。来館者や子どもたちの思い出を綴れるようなしかけも考えられている。 さらに、環境に優しいパビリオンとして構造を工夫し、CO2排出量を低減し、循環する生態系を体現するパビリオンを目指している。