彦根城の世界遺産登録に向けて、彦根市や関係団体らで組織する「彦根城世界遺産登録にかかる検討会議」が部会ごとに協議してきた内容をまとめ、3月26日に大久保貴市長へ報告書を提出した。
世界遺産登録に向けた機運を高めると共に、将来的なビジョンや記念行事を検討するため、彦根市や彦根商工会議所、稲枝商工会、彦根観光協会の幹部で「検討会議」を組織。「機運醸成プロジェクト」「将来ビジョン」「シンボルプロジェクト」の3つの検討部会を立ち上げて、昨年夏から協議してきた。検討会議には各部会長もメンバーに入った。各部会でまとめた内容は以下の通り。
市民の意識向上への戦略
機運醸成プロジェクト
- アンケート調査などで市民の世界遺産に対する意識や考えを把握する。
- 市民の世界遺産に対する意識を高めるための取り組み。
・広報ひこねを通じた情報発信
・駅や学校、商店街などへのフラッグの設置
・パンフレットなどでの情報発信
・YouTubeやSNSなどを活用した大学生による情報発信 - 市民の世界遺産に対する理解を高めるための取り組み。
・地区公民館でのセミナー開催
・学校での彦根城や世界遺産に関する授業の実施 - すべての市民・団体・行政が一体になって世界遺産登録を目指すための取り組み。
・日本青年会議所近畿地区大会での啓発活動
・彦根商工会議所作製のPRビデオの活用
・観光物産展でのPR
・1000人委員会の城下町ウォーク
・彦根市役所新庁舎でのPR - 広域的な機運醸成の取り組み。
・湖東定住自立圏やびわこ・近江路観光圏活性化協議会など広域連携組織での啓発活動
・(仮称)彦根城世界遺産登録県民会議での啓発活動
交通・観光対策の提案も
将来ビジョン
長期的課題
「歴史まちづくりの具体的方策を市民や団体、行政が一体となって検討、実施していくことが必要だ」と指摘
当面の課題
- 交通対策
・城内の観光駐車場の廃止に伴う駐車場の適正配置の検討
・彦根インターからパークアンドバスライドの利用促進
・米原インターや2年後の供用開始予定の多賀スマートインターなどから公共交通機関を利用した交通ルートの設定
・グリーンスローモビリティなどの新たな交通手段の導入 - 観光対策
・市民のホスピタリティの向上、ユニバーサルデザインに配慮した観光施設の整備など受け入れ体制の充実
・オーバーツーリズム(キャパ以上に観光客が押し寄せること)を避けるための季節分散、エリア的分散などの取り組み
・来彦できない人向けのオンラインでの情報発信の検討
登録後 市民・観光客向け行事
シンボル
世界遺産登録にかかる記念行事の開催
- 繁盛期を避け、長期間にわたり、観光客の分散化をはかるために広域的に開催
- 市民が一体となって祝う記念行事は世界遺産登録決定後の2024年の秋に開催
- 市民創造事業を実施
- 観光客向けには2025年6月以降に長期間にわたって開催。国スポ・障スポの時期は見合わせる。
※記念行事の例としては、彦根城について学べるアプリ開発とタブレットの貸出、食・物産品のイベント、旧城下町のまち歩きルートの設定とマップ作成など。