企業版ふるさと納税の宣伝データ(内閣官房のウェブサイトから)

開会中の彦根市議会9月定例会の一般質問では「企業版ふるさと納税」について取り上げられ、彦根市は企業からの寄付が増えるように周知を拡大していく意向を示した。
企業版ふるさと納税は正式名称を「地方創生応援税制」と呼び、全国各地の自治体が実施する「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に企業が寄付をすると、寄付額の約3割が税額控除される制度。
彦根市のふるさと納税の対象事業は「交流人口・関係人口の増加策」と、次世代育成に関する事業などの彦根市まち・ひと・しごと創生総合戦略に位置付けられている「地方創生に資する事業」。

昨年度4社から1130万円

2020年度は4社から計1130万円の寄付があった。内訳は「読書通帳機で紡ぐ子どもの学ぶ力向上事業」に1000万円、「彦根市スポーツ・文化交流センター整備事業」に2社から計110万円、「新型コロナに負けるな!ひこね支え合い寄付金事業」に20万円。
今後の展開について、彦根市働き方・業務改革推進課は「全国の自治体から彦根市に寄付をしたいと思っていただけるような魅力ある事業を庁内で検討し、広く寄付を募ってまいりたい」としている。彦根市に縁の深い企業へのPRとして、滋賀県人会や滋賀大学経済学部のOB、OG組織の陵水会の広報誌への記事掲載などで、個人版ふるさと納税と合わせて周知するとしている。
これら以外の取り組みとしては、企業版ふるさと納税に寄付をした企業のうち、了承した企業の企業名や寄付額を継続して彦根市のホームページに掲載していくほか、「彦根市スポーツ・文化交流センター整備事業」に対しては、10万円以上の寄付で施設に銘板を設置、100万円以上で感謝状を贈呈など、「企業にとって魅力的なものとなるよう内容の充実も検討し、寄付につなげたい」としている。

「人材派遣型」も活用へ検討

一方で、企業版ふるさと納税の「人材派遣型」は、企業版ふるさと納税の仕組みを活用し、専門的知識やノウハウを有する企業の人材を地方公共団体等へ派遣することを通じて、地方創生のより一層の充実を図るため昨年10月に創設された。彦根市によると、今年9月時点で全国の4自治体が受け入れしているという。企業版ふるさと納税の人材派遣型は企業の人材を受け入れることで、対象となる事業の充実が期待できるため、彦根市は活用に向けた検討を開始していると公表。「実現に向けて取り組む」としている。

個人版、巣ごもり需要で好調

 個人版のふるさと納税について、彦根市はその寄付額が2019年度に約2億7000万円、2020年度に約2億円だったと公表。一方で、2021年度の状況について、彦根市は9月14日時点で件数が前年同期比299%増の5124件、金額が前年同期比274%増の1億3021万円だと発表。好調の理由について、彦根市は「コロナ禍の影響による巣ごもり需要で、外出せずに購入できる生活必需品や、外食気分を味わうことができる返礼品へのニーズが高まっている」「インターネット広告に重点を置いたことも要因にある」と報告した。