西村鉄材の倉庫に描いた作品前に立つ学生たち(北村さん提供)

彦根市西今町の西村鉄材株式会社の倉庫がアートに生まれ変わった。敷地内の物置だった建物ではアーティストたちの立体作品展が今月17日まで開かれている。
西村鉄材は1946年4月創業。会社がベルロード商店街から犬上川までの途中の道路沿いに位置するため、車の交通量が多く、自転車の利用者や歩行者も会社前を多く通る。そのため、コロナ禍の彦根の街の雰囲気を明るくすると共に、取引先以外の市民にも会社の認知度を広めようと、アート化を企画した。
倉庫3棟のうち道路沿いにある「3号倉庫」の側面に、京都市立芸術大学3回生の北村花さんら美術系の学生30人が今年8月から制作を開始。カラフルな色のペンキを使い、琵琶湖や魚、彦根城天守、西村鉄材の倉庫などを1カ月以上かけて描いた。

物置に展示中の立体作品

また事務所に隣接する3階建ての建物には、使用されなくなった鋼材、ロッカーやソファーなど事務用品を使って、5人のアーティストが立体の現代アートを制作。各階の空き部屋と屋上にそれぞれの芸術作品を展示している。アーティストの氏名と作品の特徴は次の通り。

  • 原田昌典さん(金沢美術工芸大学大学院彫刻専攻修了)=作品は一見すると超常的なものに感じるが、日常の中で気づきにくくなってしまっていたものを再認するために切り取った世界の姿の一部。
  • 吉田開登さん(京都市立芸術大学彫刻専攻在学)=「色と生活空間」をテーマに都市景観や室内空間、自然の風景などを作品に反映。ピンク色を基調にした配色が特徴だ。
  • 海世さん=知らない言葉の感覚や、世間と自分との距離をテーマに制作。描かれる少女は作者の投影であることが多い。それは社会に馴染むための鏡であり、世界と向き合うためのツールでもある。
  • 大西秀哉さん(京都市立芸術大学彫刻専攻在学)=「遊び」という行為から「私」という現象を探る。そのために目的を持って制作するのではなく、衝動的に生み出したものを観察し、後から考察するという作品との向き合い方をしている。
  • 武田真佳(京都市立芸術大学彫刻専攻在学)=自分の位置や周りとの関係、ここから移動することをテーマに制作している。

公開日時は今月17日までの平日が午後1時から午後5時までと土日が午前10時から午後5時まで。土日のみ学生が滞在している。お問い合わせは、西村鉄材 ☎0749-22-1506。