城西小学校で開催された合同学習会の様子

彦根商工会議所による大学への寄付講座として2019年から開講し、今年で3年目となった『世界遺産寄付講座』。滋賀大学と滋賀県立大学により世界遺産を通して地域づくりや観光政策、文化資産の保存・活用などを学ぶ場を提供することを目的として、世界遺産関連の講座を行っている。本講座では、各地の世界遺産の現状や課題を学習しながら、登録のメリットとデメリットを明らかにし、登録後の街づくりのビジョンを提示できるような内容を目指している。講義は座学が中心であるが、世界遺産の価値やまちづくりを考える観点からフィールドワークも取り入れ、文化財の保存活用や地方創生に取り組む人材の育成も目指している。

11月15日にこの寄付講座の一環として、滋賀県立大学の学生と城西小学校の児童が一堂に集う合同学習会が、城西小学校で開催された。テーマは「わかちあい学びあうわたしのまちの宝もの」で、大学生による世界遺産・彦根城に関するプレゼンに続き、小学生がチームごとに学びの成果発表を行った。

それぞれの発表内容について、

大学生からは

  • 世界遺産登録に向けて理解を深めること、守っていくことが重要。また、彦根城そのものだけでなく、地域や文化など周りの環境も大切にしていく必要がある

小学生からは

  • 改めて自分の住むまちの文化を知ることができた。発見できたことを大切にし、まちの魅力を皆に広めたい

と、彦根城や地域に対する思いが伝わる内容であった。
その後、学生と児童による意見交換が行われ、

大学生からは

  • 大阪から滋賀にきて、今回のような取り組みがあることに驚いた。まだまだ知らないことばかりで小学生の皆から教えてもらえて良い機会となった
  • 自分達が学んだことを小学生にどのように教えれば良いか悩んだが、しっかり勉強してくれて、きちんと伝わって良かった

小学生からは

  • 大人の人に教えて貰うことはあっても、大学生と話すのは初めてだったので緊張した。でも、大学の話や自分の知らない話ができて良かった
  • 世界遺産に登録されてもされなくても、彦根城やまちを大切にして、地域が頑張っているところといえば“彦根”と言ってもらえるようになればいいと思う

などの発言があった。

最後に、一緒にやってみたい事として「観光ガイド、PR活動や美化ボランティアをする、お店を作る」などグループで意見が交わされ、自らが住む、あるいは通学しているまちの魅力や歴史について考える機会となったようである。このような取り組みにより若者や子どもがまちづくりに興味・関心を持ち、市民全体に波及することが期待される。

来週の配信では、11月17日(水)に開催された『世界遺産でつながるまちづくりコンソーシアム』についての記事をご紹介する。