市役所で行われた成果報告会で発表する滋賀大学の教員

彦根市は彦根市消防本部管内の救急活動に関する課題と解決策を分析するため、滋賀大学データサイエンス学部に調査を依頼。今月20日に彦根市役所本庁舎の特別応接室で成果報告会が開かれた。
彦根市消防本部管内では、救急要請後の救急車の現場への到着時間が年々増えており、高齢化の影響で救急業務の負荷も増大しているという課題がある。市からの調査依頼を受けた滋賀大学データサイエンス学部は2011年度から2020年度までの救急出場統計を昨年7月から今年3月にかけて分析した。
彦根市消防本部管内の本署、南分署、北分署、犬上分署ごとのデータを分析したところ、出場件数と年齢分布では0~3歳と60代以上が多く、特に75歳以上の後期高齢者が確率的に高くなる傾向があると報告した。
救急出場件数の今後の推移予測としては、今後も高齢化に伴って増加傾向になり、団塊ジュニア世代が高齢者になる「令和17年に6109件ほどでピークになる」と説明。「救急出場の負担増になりうるため、搬送先の病院、医療資源や人員との兼ね合いを含めて救急車の増車の検討」と「出場件数の増加抑制には健康維持、公衆衛生・公衆栄養学的プログラムの強化」が必要だとアドバイスした。
そして各消防署に救急車を1台増車した場合の各消防署と要請位置との直線距離(総走行距離)を比較すると、署ごとの出場時間の軽減効果などを分析したところ「北分署への増車が最も効率が高い」と示した。また各署の立地と各署内での出場の多い場所を示したデータのうち、北分署については管轄内の彦根駅西側エリアへのアクセスが悪いとして「船町交差点付近への移転が一つの解決案だ」と提案した。
彦根市は2022年度も諸課題の分析について滋賀大学データサイエンス学部に調査を依頼。今年度は「交通渋滞」についての分析が行われる予定だという。