市民団体「彦根りんご保存会」が育てている彦根りんごを使ったシードル(りんご酒)の試作品が醸造された。企画した「結のまちづくり研究所」(彦根市河原)では「彦根城の世界遺産登録が実現した際にみんなで乾杯したい」としている。
彦根りんごは江戸時代以降、彦根で栽培されていたが、昭和30年代に途絶えた。2003年以降、市民団体などが彦根りんごを復活させる活動を展開。現在は彦根りんご保存会が中心になって中薮町の農園などで育てており、毎年8月に収穫祭を行っている。
滋賀県立大学名誉教授の柴田いづみさんが代表を務める結のまちづくり研究所は、彦根城の世界遺産登録が実現した際にシードルなど彦根ゆかりの酒での乾杯イベントを企画。今年から中薮町の農園で収穫された彦根りんごを使ってのシードル作りに乗り出した。
今年は酷暑の影響で彦根りんごの収穫量が少なく、醸造先の長野県の林檎学校醸造所からは一時、「断念」の声もあったが、醸造方法を工夫して300mlの瓶105本分の製造に成功。彦根りんごをイメージしたラベルを貼り付け、結のまちづくり研究所に届けられた。
今年は製造本数が少なかったため、ストックや返礼品として使われるのみで、販売はされない。結のまちづくり研究所では彦根城の世界遺産登録が見込まれている2027年まで毎年醸造する計画で、製造本数によっては来年以降、販売する予定だ。また豊郷町の岡村本家でも彦根りんごを使ったリキュールの製造が企画されているという。
柴田さんは「2027年には彦根にまつわるお酒を各種持ち寄ってみんなで乾杯し、お祝いできるよう今後も協力をお願いしたい」と語っていた。