少子化だけでなく、菓子メーカーの後継者不足などの理由から、昔ながらの駄菓子も減ってきています。ただ、時代が変わる中でも変わらないものもあります。大切な人に連れてきてもらったこの場所がまた、その子の大切な場所になる。それがまた次の思い出となって未来へつながっていく。細々とですが、これからも地元の皆さんに提供し続けたいですね。

三口屋の昔と今

ビバシティ彦根の向い、彦根百貨卸センターの一角にある駄菓子屋が三口屋である。昔懐かしい駄菓子から最近の菓子、海外のものまで約300種を取り揃えている。店内に足を踏み入れると「いらっしゃい!カゴを持って買い物してくださいね!」と明るい声がする。
元々玩具店からはじまった三口屋は、終戦から3年後の1948年に銀座で創業し、1967年に高宮へ移転してから57年の歴史を持つ。現在3代目店主の川口義雄さんは、幼い頃から人が集まるこの場所が大好きで、自然と自分が引き継ぐものとしてお店を見てきた。そんな25年の店主歴の中でもコロナ禍の打撃は特に大きく、SNSの活用・キャッシュレス決済を導入することで乗り越えてきたという。現在、地元はもちろん、市外・県外から土日で平均130人程のお客さんが訪れているそうだ。

地域とのつながり

この店には〝カゴを持って買い物する〟というルールがある。自分が一度手に取って、戻した商品は他の誰かが購入する商品となるためである。小さな子どもであれば、溶けやすいチョコレートや、崩れやすいスナック菓子を握りしめて買い物をしてしまうことも多い。このルールによって自分のためにも、他のお客さんのためにも買い物のマナーを守ることができるからだ。
また、キャッシュレス決済が当たり前になった昨今、スマホひとつで簡単に買い物ができてしまうため、対価(お金)を支払ってモノ(商品)を得るという認識が薄い傾向にある。
三口屋では商品を金額・菓子のジャンル別で陳列、税込表示の価格表記にすることで子どもでも計算がしやすいように工夫されている。幼いうちから自分で買い物を楽しむことで、商品やお金の価値を学ぶことができる。他にも学校へ出向いた出張授業や、店舗の見学受け入れなどで、教育の一端を担っている。

取材当日は平日の午後だったが、SNSを見て県外から初来店した若者や、地元の学生など絶えず来店があった。3世代で来店する家族もあり、「小さな子どもや腰の曲がったお年寄りでも見やすい位置に商品が陳列されていてありがたい」、「春から東京の高校へ行く。寂しいけれど、ここでしか買えない好きな駄菓子を家族に送ってもらって頑張りたい」と楽しげに商品を選んでいた。

有限会社三口屋

菓子玩具卸店
彦根市高宮町1320-8
Tel.0749-22-7956


ウェブ版限定! 不易流行~地域のトビラ~ 番外編

三口屋で今も昔も愛される人気駄菓子TOP3を紹介!

1位 パチパチ感が楽しい!はじけるキャンディ!
「パチパチパニック!」

2位 3つのうち1つがすっぱい!
「そのまんまシリーズ」

3位 不動の人気商品
「うまい棒シリーズ」

三口屋SNSでは他にも様々なお菓子が紹介されています!