新型コロナウイルスの影響で観光客の姿が見られない表門橋前

昨年の彦根の観光による経済効果の推計値が発表された。それによると、観光客数が前年比11万人増の217万人、経済波及効果総額が前年比2億円増の296億円だった。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大防止の自粛モードがゴールデンウィーク終了後まで続いた場合の観光客数が30%減、経済波及額が半減になるという予想値も示された。

宿泊客の消費額は約2万円

観光がもたらす経済波及効果がどれほどの数値なのかを把握するため、彦根市は彦根城築城400年祭が開催された2007年(この年は祭期間の250日のみ)から滋賀大学経済学部に調査を依頼。実施していない14、15年を除いて毎年、翌年の春に公表している。
昨年、彦根を訪れた観光客数の推計値のうち、日帰り客が171万人だった一方、宿泊客は46万人で、一人あたりの観光消費額は日帰り客が4,203円、宿泊客が1万9,480円。この結果、宿泊費、飲食費、お土産購入費、交通費などの消費総額は161億円と推計。そのうち、お土産購入費に占めるひこにゃんグッズの販売額は9億円とされた。

雇用効果は1,273人

観光消費による経済波及効果の総額は前年比2億円増の296億円、雇用効果は同18人減の1,273人とも推計。この推計値は彦根市の第三次産業の総生産3,040億円の9.7%、彦根市の第三次産業の労働力人口3万5,000人の3.7%に相当する。 彦根城を含む城山公園の入園者数は前年比5%増の約77万人で、そのうち4月と5月が10万人超、11月が9万人超だった。城山公園、彦根城博物館、玄宮園の入場者は土日・祝日で全体の半分を占めた。

訪問のきっかけSNSが最多

滋賀大学はご当地キャラ博があった10月20日、金曜日の11月1日、土曜日の2日に表門、玄宮園入り口、京橋口駐車場、四番町スクエアの4カ所でアンケート調査を実施。その結果、観光客像は家族あるいは友人知人の2人連れが48%で、年代は40代が25%、50代が24%、30代と60代が16%の順だった。
訪問地点は彦根城・彦根城博物館・玄宮園が44%、夢京橋キャッスルロードが26%、四番町スクエアが22%で、訪問地点数の平均は宿泊客が2.58、日帰り客が2.20だった。
来訪のきっかけとなったツールは、昔訪れた思い出が20%、彦根観光協会のホームページが17%、ポスター・パンフレットが9%の順だったが、フェイスブックなどSNSの4%を含めるとインターネットを閲覧しての来訪が多いことが特徴的だった。

コロナで観光消費半減も

要望としては、「高齢者向けに一層のバリアフリー化を図って」「手すりの設置を」「イベント時のトイレ・コインロッカーの増設を」「バス便を充実して」などの意見があった。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響の推計値としては、観光の自粛がゴールデンウィーク以降まで続いた場合、昨年の推計値と比べて観光客数が30%減になり、消費総額が半減の79億円、経済波及額が6割減の119億円、雇用効果が8割減の259人までになると報告された。