彦根市は彦根城天守などを耐震診断したところ、耐震補強を行う必要があるとの結果が出たと発表した。
平成28年4月に発生した熊本地震で熊本城の石垣や櫓が崩壊したことを受けて、彦根市は大学教員らによる耐震対策検討委員会を設立し、平成29年度から3年間、彦根城天守、玄関、附櫓および多門櫓の3カ所に分けて、石垣とその上の建造物についての耐震診断や内部調査などを実施してきた。

多門櫓の入城禁止に、石垣も

彦根城天守などの平面図と、耐震補強に伴って変更される入場ルート(市提供)

耐震対策検討委員会が示した結果は以下の通り。

  • 天守
    石垣については大地震時に崩落する恐れがないが、建造物については安全性を確保するために耐震補強が必要。
  • 天守玄関
    玄関から入ってすぐにある穴藏石垣は安全性を確保するために耐震補強を行う必要があるが、耐震補強をすれば建造物が倒壊する恐れはない。
  • 附櫓および多門櫓
    附櫓から着見台までの石垣については大地震時に崩落する可能性がある。しかし、危険度と緊急度が高いとは断言できないため経過観察を行う。建造物については大地震時に柱が損壊する恐れがあり、石垣の耐震補強の有無に合わせて補強の実施を判断する。

今後の予定としては、今年度の早い時期までに多門櫓の入城を禁止し、玄関前に設置する仮設テントから入城するルートに変更する。令和3年度には耐震補強に関する設計を行い、令和4年度以降に耐震補強工事を行う。