文化庁はこのほど、世界文化遺産の推薦候補選定のための文化審議会世界文化遺産部会への諮問を今年度中、行わないと発表した。新型コロナウイルスの影響でユネスコ世界遺産委員会の開催延期を受けた措置。これによって滋賀県と彦根市が目指す令和6年度の彦根城の世界遺産登録に影響が出る可能性があるが、県と市は目標年度を変更せずに実現に向けて今後も調整していく。
滋賀県と彦根市は今年3月31日、彦根城の世界遺産登録に向けての推薦書原案を文化庁へ提出。令和4年度の推薦決定、同6年度の登録を目標にしてきた。
文化審議会世界文化遺産部会への諮問が行われないことで、県と市が文化庁へ提出した推薦書原案に対する有識者からの意見を得る機会が無くなった。
推薦書の作成に向けての作業が遅れる可能性が出てきたが、県文化財保護課では「令和4年度の推薦決定の目標を変更せずに影響が最小限になるよう進める」としている。県と市が設置した組織の中で専門家の意見を聞きながら、推薦書原案の再提案も視野に対応していく。
国内推薦を巡っては来年度が「佐渡島の金山」になる予定で、令和4年度を彦根城と「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」が争う構図だ。

「彦根城を世界遺産に」展の様子

「彦根城世界遺産」展 開国記念館入館無料

彦根市は開国記念館で「彦根城を世界遺産に」展を開いている。
パネルを用いながら、世界遺産を目指すうえでのコンセプトにも掲げている「彦根城を見れば、江戸時代がわかる」について解説しているほか、天守、御殿、庭園、藩校、重臣屋敷、城下町ごとに他にはない特徴を説明している。
企画として、世界遺産に向けて来館者にメッセージを書いてもらうホワイトボードを10月まで設置。11月以降も小学生ポスターコンクール作品展、写真展を行う。開館時間は来年6月30日までの午前8時半~午後5時。入館無料。