(株)滋賀銀行のシンクタンクである(株)しがぎん経済文化センタ-では、四半期ごとに「滋賀県内企業動向調査」を実施している。今回「2020年第2四半期(4-6月期)」の調査では、907社を対象に378社から回答を得た。このうち、湖東地域(彦根市・愛荘町・豊郷町・甲良町・多賀町)からの回答は39社だった。
新型コロナウイルスの影響が地域経済にも及ぶ中、業種別に景況を見たとき、いったいどのような傾向を示しているのだろうか。今回はDIによるデータを(株)しがぎん経済文化センター協力のもと公開する。

新型コロナで企業活動に「マイナス影響出ている」は5割超

今回、特別項目として新型コロナウイルス感染症による影響を調査した(全体の回答数は385社、湖東地域は39社)。
企業活動への影響について、湖東地域は「マイナスの影響が出ている」が55.3%と、甲賀地域(50.0%)に次いで少なかったものの5割を超えた。「今後、マイナスの影響が出る可能性がある」は36.8%と、7地域中で最も多い。「出ている」と「可能性がある」を合計すると92.1%がマイナスの影響を実感ないし予想しており、全体平均(93.2%)とほぼ同じ割合となった(図表5)。

なお、県全体の業種別で「マイナスの影響が出ている」の割合が大きいのは、製造業で「窯業・土石」(85.7%)、「繊維」(77.3%)、「食料品」(75.0%)、非製造業で「サービス」(87.8%)、「小売」(77.1%)となった。
現在発生しているマイナス影響の内容(複数回答)をみると、湖東地域では「売上(来店客、顧客・取引先、受注)が減少」(68.8%)が最も多く、次いで営業や商談機会の逸失にあたる「イベント、展示会、商談会等の延期・中止」(50.0%)、「出張や商談の延期・中止」(46.9%)が続いた(図表6)。

雇用・採用への影響について、湖東地域は「マイナスの影響が出ている」が7.9%と全体平均(19.2%)を11.3ポイント下回り、7地域中最も少なかった。「今後、マイナスの影響が出る可能性がある」は36.8%と東近江地域(37.3%)に次いで多く、企業活動への影響同様に今後を懸念する企業が多い。一方で「わからない」との回答で影響を計りかねている企業も3割(31.6%)を占めた(図表7)。

マイナス影響への対応として実施したこと(複数回答)は、湖東地域は「雇用調整(労働時間短縮、従業員の一時帰休など)」が45.5%で最も多いものの、全体平均(66.7%)を21.2ポイント下回った。次いで「中途採用の削減・停止」(36.4%)、「来春(2021年春)の新規学卒者の採用の抑制・停止」(18.2%)と続き、いずれも全体平均を大きく上回った。一方で「特に対応は行っていない」も4割近く(36.4%)を占めた(図表8)。

(寄稿:(株)しがぎん経済文化センター)

【分析方法】DI(ディフュージョン・インデックス)

  • 質問の「プラスの選択肢(良い・増加・上昇)の 回答割合」から「マイナスの選択肢(悪い・減少・ 不足)の回答割合」を引いた指数。
  • 各項目の水準や方向性を示す。