彦根市の文化観光推進地域計画の拠点になる彦根城(彦根市提供)

彦根城と彦根城博物館を拠点に観光施策を進めていく彦根市の文化観光推進地域計画が国の認定を受けた。2025年度までの5年間、彦根城関連以外を含めた市内全域を対象にした観光事業を進めていく。
昨年5月1日に施行された文化観光推進法では、「文化資源の保存と活用」「多言語化や観覧者目線のわかりやすい展示などによる観光客増」「消費活動の拡大による地域経済の活性化」とする文化、観光、経済の好循環で全国各地の拠点および地域の振興を図るとしている。昨年度は拠点計画が15件、地域計画が10件認定された。
彦根市、彦根観光協会、近江ツーリズムボード、近畿日本ツーリスト関西彦根城運営管理センターは「彦根城・彦根城博物館を拠点とした文化観光推進地域計画」の策定に向け、彦根市文化観光推進協議会を設置。各団体と彦根商工会議所、滋賀大学、滋賀県立大学などからの委員11人が今年2月から協議してきた。

彦根城博物館(市提供)

外国人客増へ多言語化促進 世界遺産見据え周遊性も強化

5月25日に国の認定を受けた「彦根城・彦根城博物館を拠点とした文化観光推進地域計画」では、彦根城跡、旧城下町地区、佐和山城跡周辺を重点区域に、そして中山道の鳥居本宿と高宮宿、荒神山古墳、山崎山城跡を含めたエリアを計画区域に設定している。
2019年度から25年度にかけての目標として、拠点施設への外国人の来訪者数を4万5000人から6万9000人に、外国人の市内宿泊者数を2万3000人から4万人にいずれも増やす数値が示されている。

主な課題としては以下の通り。

  • 来場者を十分に取り込めていない彦根城博物館の展示の充実、史料を活用した取り組み、施設の改修などを行う。
  • 旧城下町地区やそれ以外への周遊が少なく、通過型観光になっている。世界遺産登録後の来訪者増を見据え、市域全体や近隣地域へ周遊させる取り組みを進める。
  • キャッシュレス化や多言語化をはじめとする外国人への対応、渋滞対策や周遊化に向けたアクセスの向上、地域住民の文化観光への普及啓発など、世界遺産登録を見据えた「おもてなし」の環境整備をする。

これら課題の解決に向けて、2025年度までに取り組む主な事業としては「鳥居本、高宮、荒神山、琵琶湖など市内全域の城跡や古墳を巡るツアー」「周遊マップや案内サインの作成」「彦根城博物館の展示解説、館内アナウンス、音声ガイド、名宝図録などへの多言語化の強化」など。
なお今年度は彦根市や長浜市を含め全国で15件(うち拠点計画9件、地域計画6件)が認定された。