滋賀大学での展示会場の様子

彦根市馬場1丁目の滋賀大学経済経営研究所は、全方位カメラで撮影した町並みを使って洪水の様子を体感できる「VR型防災教育システム」を作成。「いま ここにいる感覚」と題して、開発の様子を紹介したパネルや実際の機器を総合研究棟1階で展示している。実演体験会の開催も予定している。
バーチャルリアリティー(VR)はコンピューターで作られた人工環境を現実として知覚させる技術。近年はヘッドマウントディスプレイ(HMD)の急速な普及によって、VRがより身近な存在になり、ゲームや娯楽、教育、産業、医療など多分野で活用されている。2016年に任天堂が発売したスマホ用ゲーム「ポケモンGO」はVRを一躍世に広めた。
滋賀大学経済経営研究所は、2017年8月の台風5号の影響で洪水が発生した長浜市大井町の町内を全方位カメラで撮影。その画像を用い、平常時と洪水が発生した際を体感できるシステムを開発した。HMDを装着すると、大井町の実際の写真上部に仮想の「浸水ボタン」と「通常ボタン」が登場し、浸水ボタンを押すと、洪水したように見えるイメージ画像に切り替わる。

VRの実演体験の模様

2月4日正午~実演体験会

VRを使った仮想世界の多くは実世界との感覚が乏しく、ゲーム感覚になってしまうなどの課題がある。滋賀大学経済経営研究所が開発したシステムは実際に町並みを撮影した画像を使っているため、臨場感のあるリアルなシチュエーションを体感できるのが特徴だ。
2020年12月15日に大井町の45歳から66歳までの住民11人に実施した実証実験では91%が「浸水が起きたような現場にいる感覚だった」と答えた。
滋賀大学経済経営研究所は「VR型の防災教育で重要な現実感、実在感、迫真性を含む『いまここにいる感覚』をVR体験で維持することを目指して開発した」としている。
開館日時は6月30日までの平日午前9時から午後5時まで。観覧無料。2月4日正午から午後1時までVR実演体験会がある。新型コロナウイルス感染症対策のため、複数回にわけて実施する。申し込みは滋賀大学経済経営研究所 ☎0749-27-1047。