彦根商工会議所では、会員企業の景況や経営課題などを四半期ごとに調査する「彦根企業景況等調査」を実施しております。このほど第19四半期(令和7年10〜12月期)の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
本調査では、当所会員を対象に売上高、仕入・販売単価、従業員・資金繰り等について前年・前期比並びに来期見通しをDI(ディフュージョン・インデックス)値で示すとともに、自社の経営課題等も調査項目にしております。

調査方法:彦根商工会議所会員企業130社にメールまたはFAXによる
調査対象期間:令和7年10月~12月
集計・分析(委託先):中小企業診断士 岡本 香 氏
回答企業数:82社(回答率63.0%)

建設業製造業卸小売業飲食業サービス業合計
回答数15221292482
業種別比率18.3%26.8%14.6%11.0%29.3%100.0%

※本調査でのDI(ディフュージョン・インデックス)「増加(好転・上昇・過剰等)」と回答した企業数の構成比から、「減少(悪化・低下・不足等)」と回答した企業数の構成比を差し引いた値である。
※今期(前期比):令和7年7月~9月と比較した令和7年10月~12月の状況
※昨年比:令和6年10月~12月と比較した令和7年10月~12月の状況
※次期:令和7年10月~12月と比較した令和8年1月~3月の見通し

1. 全体の景況等

(1)「業況判断DI(上昇-低下)」

  1. 今期(R7年10月~12月)
    多くの業種が低調で横ばいの中、建設業がゼロ値に低下し、卸小売業が大きく下げました。飲食業については前期時点で悪化が懸念されていましたが横ばいに留まりました。
  2. 次期(R8年1月~3月)
    製造業を除けば、各業種横ばい、もしくは悪化の見通しです。今期悪化した卸小売業は持ち直す見通しながら、売上・販売単価の低下も見込まれており予断は許されない状況です。また、飲食業については販売単価の上昇もあり、若干好転の見込みです。

(2)「売上高DI(上昇-低下)」

  1. 今期(R7年10月~12月)
    前期は悪化が懸念されていましたが、卸小売業を除き、全体として好転しています。卸小売業は、販売単価DIは好転したのですが、数量の悪化が見込まれるようです。
  2. 次期(R8年1月~3月) 期末を迎える四半期にも関わらず、全業種共悪化の見通しです。

(3)「採算DI(上昇-低下)」

  1. 今期(R7年10月~12月)
    建設業を除き、全業種好転しています。多くの業種で価格転嫁も進んできていると思われます。
  2. 次期(R8年1月~3月)
    飲食業を除き、全業種低下する見通しです。引続き販売価格への転嫁がポイントと思われます。

(4)販売単価DI

  1. 今期(R7年10月~12月)
    飲食業を除き、多くの業種が横ばい。製造業は一貫して低下傾向にあることが懸念されます。
  2. 次期(R8年1月~3月)
    飲食業を除き、全業種低下する見通しです。引続き販売価格への転嫁がポイントと思われます。

(5)仕入単価DI

  1. 今期(R7年10月~12月)
    建設業を除き、多くの業種が横ばい。
  2. 次期(R8年1月~3月)
    卸小売業を除き、低下傾向ですが、昨年末からの円安傾向が続けば、次期は悪化することが懸念されます。

(6)資金繰りDI

今期(R7年10月~12月)から次期(R8年1月~3月)にかけて、大きな変化はみられませんが飲食業の低位が目立ちます。現状では融資利率は低位安定していますが、政策金利の上昇等の要因で将来逼迫する可能性があることへの心構えが必要と思われます。

(7)従業員ID

人材問題は非常に大きく、特に飲食業にとっては引続き大きな課題となっています。昨今問題となっている在日外国人問題と共に、引続き大きな課題となり続けると思われます。

2. 業種別の景況等

建設業

業況・売上高・採算DI共に次期は悪化する見込。それら以外の項目は横ばいの見込みです。

製造業

業況・売上高・採算DI共に次期は悪化する見込。次期の仕入単価DIの低下は、円安による仕入単価の上昇によりさらに悪化することが懸念されます。

卸小売業

業況は次期に持ち直すことが期待されていますが、売上高・採算DIが低下、販売単価・仕入単価が横ばいか若干低下の見込みです。

飲食業

業況の次期見込みは好転が予想されます。採算等各項目は不変。売上高DIの低下が懸念されています。

サービス業

次期へ向けて、販売単価、仕入単価、従業員共横ばいですが、業況・売上高・採算が低下の見込。経費上昇への価格転嫁や人材確保への取組が未済の事業者も一定数おられ、今後の喫緊の課題と思われます。

総括的概要

(R7年10-12期について)

R7年7-9月期調査において、R7年10-12月見通しは飲食業を除けば概ね好転の見通しでしたが、今期調査においては建設業・卸小売業が悪化し、前期悪化が懸念された飲食業は概ね横ばいとなりました。

(R8年1-3月期について)

全業種共、なだらかな悪化傾向に収れんしており、卸小売業も他業種並となっています。

  • R7年7-9月期の調査で、経営上の問題点として多かった「原材料費、人件費、経費の増加」及び「原材料価格、人件費以外の経費(燃料等)の増加」の問題解決にあたって取られた「販売価格への転嫁」についてはサービス業を除き概ね50~80%転嫁となっており、昨今の物価上昇からみても妥当な方策と思われます。但し、サービス業についてはまだ転嫁が進んでおらず、今後ともサービス単価を有償とする考え方の浸透が必要とも思われます。
  • 「従業員の確保難」も大きな問題であり、対応策としては「人材紹介・ハローワーク・学校等との連携強化」「給与・手当の改善」が多くを占めています。但し、「取り組んでいない」が約4割となっており、過疎化・少子化の進行を顧みると早急に対応を進めて行く意識付けが必要と思われます。
  • 本調査時点以降に大幅な円安ドル高が進んでおり、仕入原価の上昇等、今後の影響が大きく懸念されます。
  • 国・県・市などの施策への要請については、従来からの「経営の持続に係る支援」、「事業変革・再構築にかかる支援」は引続き大きいですが、「DX(業務改善)にかかる支援」が、業務の高度化と省力化の両方を実現するツールとして期待が増えています。