明けましておめでとうございます。
2024年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
今年は辰年です。十二支の中で辰(龍)だけが架空の動物です。他の干支は実在する動物なのになぜ龍だけが架空の動物なのか? 不思議ですよね。これについてはっきりとした理由はわかっていませんが、「龍という文字に鰐(ワニ)の意味もあったので、そもそも龍ではなくワニを指していた」とする説などがあるそうです。
龍は古来より中国で権力の象徴とされ、優れた皇帝の治世には瑞兆として出現し国が繁栄するといわれていました。干支を広く浸透させるために、縁起の良い龍を選んだのかもしれません。
辰年は国際的にも政治や経済に大きな変化が起きることが多い年といわれています。ここ数年の世界情勢では、一昨年、昨年とウクライナ戦争・パレスチナ戦争と戦争が勃発しました。世界はどこへ行こうとしているのでしょうか。日本の近隣では中国と台湾との問題がくすぶっていますし、日本には無関係というわけではありません。経済的に見ると、エネルギーの高騰、原材料の高騰、更に円安で物価上昇した1年となりました。辰年の今年は、大きな変化が起こるのでしょうか。
ちなみに私も辰年です。変化を恐れることなくチャレンジの年にしたいと思っております。

マイナス金利の行く末

日銀の政策「マイナス金利」について触れさせていただきます。今の物価高騰も円安が影響しています。円安は「世界の金利」と「日本の金利」の差から生まれていると言っても過言ではありません。
世界はインフレを止めたいがために金利を上げ出しました。一方日本は「マイナス金利」を維持しています。その結果、どんどん金利差が顕著になり円安方向に向かっています。進む円安・景気後退時に入ったら打つ手がない日銀としては「マイナス金利」を脱出する時期としては遅いぐらいです。
日銀の「マイナス金利」政策をやめる条件は、①物価上昇率が安定的に2%を超えたとき ②給与が安定的に上昇したときです。
①は達成しているため、今年の春闘で②を達成できれば「マイナス金利」を解除するタイミングではないでしょうか。

マイナス金利解除の課題

「マイナス金利」を解除するのも大変です。解除するには次の3つのことをやらねばなりません。

①イールドカーブ・コントロール(※1)を日銀の手から市場に返す。
【10年物国債1%容認の上限をなくす】

※1 YCC:長期・短期の金利を操作し、意図的に景気を刺激することを目標とした金融政策

②テーパリング(※2)
【保有国債520兆円、ETF(※3)35兆円等の放出】

※2 量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減らしていく出口戦略
※3 株価指数などの特定の指標に連動することを目指した上場投資信託

③マイナス金利の撤廃
【金融機関の日銀への預け金金利をマイナス金利からプラス金利にする】
日銀はこれらの3つをコントロールしながらマイナス金利施策を解除していくと思われます。 今年は日銀の「マイナス金利」政策から金利を上げる場面で経済が動くかも知れません。

人手不足問題 ― ルイスの転換点―

もう一つ大きな問題が日本にはあります。それは人口減少から来る「人手不足問題」です。「労働力が枯渇する転換点」を表す経済用語に「ルイスの転換点」というのがあります。いよいよ日本にも「ルイスの転換点」がやって来たのかも知れません。「ルイスの転換点」に達すると企業が従業員をキープするために給与が勝手に上がり出すといわれています。
従業員の不足のためDXに取り組む企業も今以上に増えてくるでしょう。また雇用形態も変化するのではないでしょうか。例えば「副業」、「兼業」といったようなものも今以上に増える可能性があります。特に「副業」では専門性のある人から安価でアドバイスをもらうことができ、効率化を図り、売上を伸ばした実例も増えています。

結びにあたり我々を取り巻く経済環境はまだまだ厳しいものがありますが、彦根にはそれらを跳ね返すポテンシャルがあると思います。
微力ですが、彦根商工会議所も一丸となり会員サービス、まちづくりに邁進してまいりますので、皆さまの一層のご支援とご協力を心からお願いいたします。