彦根商工会議所では、会員企業の景況や経営課題などを四半期ごとに調査する「彦根企業景況等調査」を実施しております。このほど第15四半期(令和6年10〜12月期)の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
本調査では、当所会員を対象に売上高、仕入・販売単価、従業員・資金繰り等について前年・前期比並びに来期見通しをDI(ディフュージョン・インデックス)値で示すとともに、自社の経営課題等も調査項目にしております。
調査方法:彦根商工会議所会員企業130社にメールまたはFAXによる
調査対象期間:令和6年10月~12月
集計・分析(委託先):中小企業診断士 中川 学 氏
回答企業数:77社(回答率59.2%)
建設業 | 製造業 | 卸小売業 | 飲食業 | サービス業 | 合計 | |
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回答数 | 14 | 20 | 14 | 10 | 19 | 77 |
業種別比率 | 18.2% | 25.9% | 18.2% | 13.0% | 24.7% | 100.0% |
※本調査でのDI(ディフュージョン・インデックス)「増加(好転・上昇・過剰等)」と回答した企業数の構成比から、「減少(悪化・低下・不足等)」と回答した企業数の構成比を差し引いた値である。
※今期(前期比):令和6年7月~9月と比較した令和6年10月~12月の状況
※昨年比:令和5年10月~12月と比較した令和6年10月~12月の状況
※次期:令和6年10月~12月と比較した令和7年1月~3月の見通し
総括的概要
- 売上高DIが1年ぶりに好転。採算DI、業況判断DIはほぼ不変。
- 仕入単価DIは約半数が上昇、販売単価DI、資金繰りDI、従業員DIはほぼ不変。
- 原材料費、人件費、経費の増加に対して、建設業、製造業、卸小売業で販売価格転嫁が進むが、消費者に近い飲食業、サービス業で進んでいない。
- 国・県・市の施策について「経営の持続にかかる支援」「事業変革・再構築にかかる支援」「DXにかかる支援」を求める声が増加。
1. 全体の景況等
「売上高DI(好転-悪化)」が1年ぶりに好転に転じた。「業況判断DI(好転-悪化)」「採算DI(好転-悪化)」は不変との回答が多かった。次期見込は不変との回答が多いものの悪化見込が増加している。
「仕入単価DI(上昇-低下)」は約半数の事業者が上昇、約半数が不変と回答。「資金繰りDI(容易-困難)」「販売単価DI(上昇-低下)」「従業員DI(過剰-不足)」はほぼ不変。
原材料費、人件費、経費の増加に対して、販売価格への転嫁の取り組みは、半分程度できているとの回答が最も多く、販売価格への転嫁に対して、既存顧客との関係強化のための取り組みとしては、「顧客情報の収集・管理」、次いで「商品・サービスの改良、改善、開発」を上げる事業者が多かった。従業員確保難に対して、待遇改善の取り組みとしては、「賃金の引き上げ」が最も多く、次いで「有給休暇の取得促進」が多かった。
国・県・市などへの施策について「経営の持続にかかる支援」を要望する意見が過半数あり、前回調査よりも増加した。また、「事業変革・再構築にかかる支援」「DX(業務改善)にかかる支援」を要望する意見が前回調査よりも増加した。
2. 業種別の景況等
建設業
売上高DI、業況判断DIはマイナス幅を縮小したが、次期はまた悪化の見込み。仕入単価DIの上昇は少しずつ鎮静化の見込み。顧客との関係強化のための取り組みとして「顧客情報の収集・管理」が最も多かった。
その他意見
- 一般需要が減少しているため、公共工事(文化財等)の発注を拡大してほしい。
製造業
売上高DIは大きく改善し1年ぶりに好転し、業況判断DI、採算DIも大きくマイナス幅を縮小した。しかし次期はまた悪化の見込み。顧客との関係強化のための取り組みとして「商品・サービスの改良、改善、開発」が最も多く、全業種で最も多かった。80%以上販売価格転嫁できていると35%の事業者が回答し、全業種で最も多かった。
卸小売業
業況判断DI、売上高DI、採算DIともにマイナス幅を縮小したが、次期はまたマイナス幅が拡大する見込み。従業員DIの不足傾向は前回調査時よりも大きくマイナス幅を縮小、「賃金の引き上げ」「有給休暇の取得促進」「時間外労働の削減」に取り組んでいる。国・県・市へ求める要望として「DX(業務改善)にかかる支援」「事業承継にかかる支援」をあげた事業者が全業種で最も多かった。
その他意見
- 仕入価格の転嫁以上に、人件費燃料費等、経費上昇の転嫁ができない。
飲食業
売上高DIは再び好転に転じた。業況判断DIは不変であったが、仕入単価DIの上昇が継続し採算は伸びなかった。資金繰りDIは非常に厳しい状況にある。販売価格への転嫁に対する既存顧客との関係強化の取り組みとして、「SNSを通じた情報発信」「チラシ、ダイレクトメールの送付」「商品・サービスに関するヒアリング」と回答した事業者は全業種で最も多かった。しかし、ほとんどの事業者が半分未満しか販売価格転嫁できていない。
サービス業
売上高DI、採算DIは不変、業況判断DIはやや悪化。販売単価DIは不変で、原材料費、人件費、経費の増加に対して販売価格に転嫁できていないとの回答が42%と全業種で最も高かった。従業員の雇用難が深刻で、国・県・市に対しての要望で「雇用対策にかかる支援」を求める回答が多かった。