大隈重信が愛用していたとされる帽子(彦根市立図書館所蔵)

明治・大正時代に内閣総理大臣を務めた大隈重信(1838~1922)がかぶっていたという帽子が、30日まで彦根市金亀町の開国記念館のロビーで展示されている。
大隈は佐賀藩出身。明治維新では大蔵卿・参議などを歴任。明治15年に立憲改進党を結成し、その年の10月に東京専門学校(現・早稲田大学)を創設した。黒田清隆内閣で外相を務め、安政五ヵ国条約の改正に尽力した。明治31年6月に板垣退助らと憲政党を結成し、6月30日には内閣総理大臣となった。4カ月後に辞職し、明治40年に政界を一時引退したが、第一次護憲運動の際に復帰し、大正4年には第二次大隈内閣を組閣。その年の7月に第一次世界大戦が起こり、翌年10月に内閣を総辞職し政界から完全に引退。大正11年1月10日に早稲田で死去した。
明治6年に廃城令が打ち出され、彦根城内も一部の建物が解体され始めていた明治11年、明治天皇の巡幸に同行していた大隈は彦根城の美しさに魅了され、天皇に保存を懇願。これにより彦根城の多くの建物が残ったとされる。
大隈の帽子は、大正14年7月28日から翌年9月3日まで彦根町長を務めた堀部久太郎が、大正6年の総選挙に出馬した際に大隈から帽子をもらい、大隈が本好きだったため、昭和13年に図書館へ寄贈したとされる。現在まで彦根市立図書館が所蔵してきた。
資料保存の観点から今月10日から30日までの約3週間の限定展示。以降は写真パネルの展示となる。開館時間は午前8時半から午後5時まで。
開国記念館のロビーでは古写真展「彦根城を撮る 彦根城から撮る」を開催しており、明治初年から末頃までの彦根城や本丸からの風景を撮影した写真を展示している。

TREASURE HUNTING OHMI 其の十七 彦根市立図書館② - 不易流行10月号(8ページ参照)