展示品を解説する史料館専任教員の青柳周一教授

彦根市馬場一丁目の滋賀大学経済学部附属史料館は、講堂改修竣工を記念した企画展「地域とともに歩む 彦根高等商業学校」を開催している。
彦根高等商業学校(以下、彦根高商)は滋賀大学経済学部の前身。大正9年・1920年3月1日に文部省(現在の文部科学省)から設立を決めた通知があり、その2年後に正式決定したことが始まり。講堂は大正13年に完成した。
今回の企画展では、

  1. 地域が支えた彦根高商の創立
  2. 彦根高商と地域をつなぐ講堂
  3. 写真で振り返る彦根高商
  4. 史料館の歴史をたどる

の4テーマに分けて紹介している。

1では彦根高商の創立までの新聞記事を取り上げている。大正8年1月の京都日出新聞は「大津市への設置内定」を報じる一方で、「寄付金集めでは彦根が楽観」と、大津と彦根の誘致合戦を伝えている。その後、2月11日付の夕刊では「彦根に設置と文部大臣が決定した」と報じた。当時の新聞記事のほか、大正9年11月7日に開かれた地鎮祭の祝賀式での行列で使われた提灯(ちょうちん)、開校のために寄付した282人を五周年記念式に招待した時の控(名簿)も展示している。
2では昭和8年・1933年に開かれた開校十周年記念式の来賓への記念品(彦根城や琵琶湖の絵はがき、彦根周辺の観光案内図)、同年11月2日に講堂であった映画会の招待券とプログラム、映画研究会や彦根映画連盟が結成されたという新聞記事などを並べている。
3では昭和7年6月の校舎航空、昭和18年頃の正門と講堂、同年頃の東亜会館や本部事務局の写真を掲示。
4では開校五周年があった昭和3年に発足した近江商人研究会が同年に開催した近江商人史料展覧会の展示目録、近江商人資料写本、昭和25年頃に調査した滋賀県近世庶民史料調書、旧史料館の外観写真などを展示している。

オンデマンド講演会 菅浦文書レプリカも

滋賀大学経済学部附属史料館は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために講堂での講演会を実施しない。その代替としてホームページでオンデマンドの講演会の様子を公開している。
講師は鹿児島大学大学院理工学研究科建築学専攻の木方十根(じゅんね)教授。「高等教育の拡充と都市の再編―旧制彦根高商の建築遺産」をテーマに講演している。
史料館の開館日時は11月20日までの平日9:30~16:30。別のコーナーには国宝「菅浦文書」のレプリカの常設展示ブースも設けている。入館無料。問い合わせは史料館 Tel. 0749-27-1046。