彦根市は日本人と外国人が支え合う地域づくりを目指し、2021年度から2025年度までの「第2次 彦根市多文化共生推進プラン」の素案を作成し、市民から意見を募っている。
市は2016年度から2020年度までの第1次のプランを策定した。しかし、近年の社会経済のグローバル化や人口減少、少子高齢化に対応するため、技能実習制度の見直しによる実習期間の延長や高度専門職の創設など、外国人の受け入れ施策の拡大など多文化共生に関する環境が変化。このことから、2021年度から2025年度までに取り組む内容をまとめるためプランを改訂する。
第2次プランの素案によると、彦根市内の外国人は1989年(平成元年)が548人だったが、その後は増え続けて2008年に2,432人となった。世界的な経済危機や東日本大震災の影響で一時は減少したが、昨年2月末時点が2,883人だった。新型コロナウイルスの影響で昨年9月末時点では2,644人と微減し、市内総人口での割合は約2.35%になっている。

観光客 台湾が3,000人超で最多

国籍別で見ると、2016年9月時点では中国が530人と最多で、ブラジル、フィリピン、ベトナム、韓国の順だったが、昨年9月時点ではベトナムが593人と最多で、中国、ブラジル、フィリピン、韓国と続いた。在留資格別で見ると、昨年9月時点で永住者が最多の769人で、技能実習、定住者、技術・人文知識・国際業務の順。ベトナムが技術・人文知識・国際業務の分野で高い割合を占めており、同分野で雇用されている間に家族の滞在が認められているため、ベトナムから多くの配偶者や子どもも来日していると想定される。
2019年4月から2020年3月までに市内の観光案内所を訪れた外国人観光客は台湾が最多の3,077人で、香港751人、中国654人、フランス557人、アメリカ404人と続いている。

2016年と2020年の市内の外国人数および割合(素案から抜粋)

外国人労働者働き易い環境へ 新規拡充事業、観光情報の発信も

第2次プランの素案では、昨年5月1日から6月15日まで多文化共生について外国人住民100人、日本人住民175人、自治会69団体に実施したアンケート調査の結果を公表している。
外国人の情報の取得方法については市の外国語版の広報が60%以上。必要な情報の種類としては税金・年金が62%、医療・健康保険が55%で、日本の税金や年金の仕組みが複雑なため理解されにくい現状がわかった。外国人の日常生活での困り事としては言葉が44%と最多で、緊急時の対応と税金・年金・健康保険などが20%を超えた。
2021年度以降に実施する主な内容としては、1.コミュニケーション支援 2. 安心して生活できるための環境づくり 3. 多文化共生の地域づくり―に関して項目別に説明している。
新規または拡充の主な事業は以下の通り。

  • 多言語や「やさしい日本語」で行政情報や案内など動画を使って広く発信する。
  • 外国人一元的相談窓口を開設する。
  • 日本語教室や外国人を雇用している企業などと連携し日本語教育の拡充を図る。
  • 外国人住民の困り事に対して民生委員児童委員や各種相談窓口と連携し支援する。
  • 職業訓練や就業に必要な情報提供をする。
  • 国・県などと連携して、外国人労働者が働きやすい環境を整え、多文化共生意識が向上するよう啓発する。
  • 国際交流事業(姉妹都市・友好都市交流など)を実施する。
  • 外国人住民や観光客に対して、彦根の魅力や観光に関する情報などを関連団体と連携し、多様なメディアを通じて発信する。

第2次プランの素案は彦根市人権政策課、仮庁舎3階の情報公開コーナー、支所・各出張所、市ホームページで公開している。意見がある場合は市人権政策課に持参か郵送、ファクス、メールで。2月17日まで。問い合わせは市人権政策課多文化共生係 ☎︎ 0749-30-6113。