世界遺産登録を推進する彦根城(市提供)

彦根市が今月12日に発表した2021年度当初予算案の一般会計は前年度比4.6%減の461億3,400万円となった。新型コロナウイルスの影響で市税が減少したが、国からの地方交付税の総額が増加した。
新型コロナ感染症対策やごみ焼却場整備に伴う衛生費などが増加する一方、市役所本庁舎の耐震・増築・改築工事の終了に伴う総務費や、市スポーツ・文化交流センター建設工事の事業費などが減少し、全体では前年度と比べてマイナス予算になった。
歳入のうち、市税は新型コロナの影響による雇用情勢の悪化や企業収益の減少によって、個人市民税、法人市民税ともにダウンし、市税全体では前年度比9億6,985万円、5.5%減の166億2,294万円となった。
国からの地方特例交付金や国庫支出金が増加するものの、県の支出金や借金にあたる市債が減少。市債は市役所本庁舎の整備事業が終えたことなどから前年度より約35億円少ない55億900万円を発行。地方交付税の代替として発行する臨時財政対策債を含めた市債残高は2021年度末に1,017億円になる見通し。
貯金にあたる基金は財源不足を確保するため、特別会計を含め総額で27億円を取り崩す予定。基金残高は約60億円となる見込み。
なお特別会計(5会計)は、介護保険事業特別会計で給付対象者が増加したため全体では前年度比0.4%増の201億2,076万円、一般会計と企業会計(3会計)を含めた総額では前年度比2.3%減の934億8,912万円となった。

宿泊促進キャンペーン事業 インバウンド対策 世界遺産も

彦根市2021年度当初予算案の商工観光の関連事業は以下の通り。 - 中小小売商業対策(1,946万円)=賑わいのある商店街づくりや活性化事業に助成。 - 商店街基盤整備(131万円)=商店街が行うソフト事業への補助金と、商店街が施設を改修するための奨励措置。 - 商工会議所・商工会育成(1,880万円)=彦根商工会議所と稲枝商工会が行う公益性の高い事業に交付金を支出。 - 金融対策(203万円)=小規模事業者に無担保・無保証で小口簡易資金を融資。また彦根商工会議所と稲枝商工会に小口簡易資金事務の一部を委託。 - 地場産業振興対策(101万円)=地場産業展、PR事業、新戦略支援特定事業への支援。 - 地域経済対策リフォーム(5,029万円)=市内業者を使って市内の住宅を20万円以上で改修した市民らに上限10万円を交付。 - 起業者育成支援(365万円)=滋賀大学データサイエンス学部の卒業生たちの起業者を支援するため、市内事業所と滋賀大学などとの橋渡しを務める人材の登用を支援。彦根商工会議所をコーディネート役として、滋賀大学および実習生、事業所による産官学のプロジェクトとして進める。 - インバウンド推進(919万円)=外国人観光客の受け入れ環境整備と近江ツーリズムボードへの補助。 - 宿泊促進キャンペーン(4,530万円)=ネット上の宿泊サイトで市内の宿泊施設でのみ利用できる割引クーポンをゴールデンウィーク後と12月に配布。 - 彦根城ライトアップ(1,065万円)=彦根城域で実施されるライトアップ事業に対して補助。 - 彦根城世界遺産登録準備(1,167万円)=登録に向けた推薦書原案の作成、啓発グッズ作製、千人委員会活動費。