陸舟奔車の復元品と製作した彦根総合高の生徒2人と教員

江戸時代に彦根藩士の平石久平次時光(1696~1771年)が発明した自転車のルーツとされる乗り物「陸舟奔車(りくしゅうほんしゃ)」。その復元品をこのほど、彦根総合高校の生徒たちが作った。今月16日から彦根藩初代当主・井伊直政公が荼毘に付された地に建つ長松院(彦根市中央町)で展示する。
久平次が発明した陸舟奔車の記録は平石家文書のうち「新製陸舟奔車之記」に載っている。享保13年(1728年)から享保17年にかけての久平次の発明品のうち、陸舟奔車はハンドルを設け、車輪に付けたクランク軸に回転するペダルを取り付けている点が特徴だ。世界最古のペダルを付けた自転車はフランスのピエール・ミショーが1860年に考案したものとされる。久平次の陸舟奔車はそれよりも100年以上前ということになる。
平成15年(2003年)10月25日に放送されたテレビ番組で陸舟奔車の復元品が作られ、その後、彦根市立図書館に寄贈。収蔵庫に入らないため、彦根市民会館で保管されている。

生徒20人2カ月かけて完成

久平次の250回忌を前にした昨年9月、その陸舟奔車の復元品が長松院に移され、11月末まで展示された。このニュースを彦根総合高校の教員が新聞で知り、3年生20人に新しい復元品作りを打診。生徒たちは10月中旬に長松院を訪れて復元品を見学した。
その後、材料を集めて12月から製作に取りかかった。休日や冬休みを返上して作業を行い、今年1月23日に完成させた。ペダルのクランク部分や前輪を除いて大部分が木製のまま。大きさも彦根市立図書館所蔵の復元品とほぼ同じだ。
生徒たちが作った復元品は長松院へ運び、今月16日に安全祈祷式がある。3月末まで長松院で展示される。