近江鉄道線活性化再生も盛り込まれる

滋賀県が今月8日に発表した2021年度当初予算案の一般会計は、前年度比16.9%増で過去最大の6,670億円となった。過去最大は新型コロナウイルス感染症対策分の1,021億円を含めたことが要因。
歳入のうち、県税は新型コロナの影響で前年度と比べて個人県民税が5.6%、法人二税が15.0%といずれも減少したため、前年度比6.3%減の1,617億円となった。一方で、国からの地方交付税と臨時財政対策債が増額となったため、県歳入のうち地方交付税が前年度比4.3%増の1,220億円となった。臨時財政対策債を含む県債は前年度比19.6%増の946億円で、県債残高は2021年度末に1兆1,619億円になる見込み。
歳出では新型コロナなど感染症予防対策事業費や経営状況が落ち込んだ事業者を支援する中小企業振興資金貸付金などで、健康医療福祉費が前年度比28.6%増の1,330億円、商工観光労働費が前年度比429.8%の大幅増の834億円を計上している。

インバウンド 彦根城世界遺産も

県の当初予算案のうち商工観光や彦根市政関連は以下の通り。

  • 新型コロナ対策経営力強化支援(5億5,000万円)=県内中小企業の人材確保と育成、働き方改革、デジタルトランスフォーメーションの推進などの取り組みに関する経費を助成。
  • 支援制度・相談窓口運営委託(1,314万円)=新型コロナで影響を受けている事業者向けにワンストップ相談窓口を設置。
  • 事業承継プロジェクトの促進(1,962万円)=事業承継を円滑に進めるため後継者候補の育成と幅広く活用できる補助金を支給。
  • 中小企業への支援による地域経済活性化(1億3,600万円)=商工団体が地域の事業者を応援するために行うさまざまな取り組みに要する経費を助成。
  • 中小企業経営革新支援(1,482万円)=中小企業の新事業を促進するため、外部専門家による指導助言と、商品化、販路開拓の経費を助成。
  • 中小企業振興資金貸付金(693億2,900万円)=中小企業者の経営安定を図るため融資を実施する。
  • 小規模事業経営支援事業費補助金(14億4,537万円)=商工会、商工会議所、商工会連合会が小規模事業者に行う経営改善普及事業に要する経費を助成。
  • 小規模事業者への支援策周知(9,296万円)=小規模事業者に対し各種支援策の周知を図るため、商工会議所に緊急雇用対策として必要な人員を雇用。
  • DXによる新ビジネスモデルづくり(700万円)=デジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーションを推進するため県内企業の取り組みを支援。
  • 製造現場へのAI・IoT導入促進(1,000万円)=県内中小企業の製造現場が行うAI・IoTといったデジタルツールの導入を支援。
  • コロナ対応モノづくり研究開発支援(4,005万円)=コロナ禍における多様なニーズをビジネスチャンスに変えるため、企業が行う技術開発に必要な経費を助成。
  • にぎわいのまちづくり総合支援(1,050万円)=商店街振興組合が行う賑わい創出の事業を支援。
  • 県内大学間連携によるIn4.0技術開発推進(820万円)=県内大学が連携して取り組む第4次産業革命関連の技術開発を支援し、県内中小企業へ技術移転を行うことで県内産業の活性化を図る。
  • イノベーションエコシステム創出支援(1,000万円)=社会的課題の解決につながるイノベーションの創出、新技術・新製品開発、新ビジネスの展開を推進するため、オープンイノベーション・ビジネスマッチングを実施。
  • 近江の地域産業振興総合支援(2,755万円)=地場産業および地場産品のブランド力向上、後継者育成、海外展開、販路拡大の取り組みを支援。
  • 国際観光推進(3,442万円)=インバウンドの回復が最も早いと想定される東アジアに対し、誘客プロモーションを実施し、新たな観光資源の開発を行う。
  • 彦根城世界遺産登録推進事業(930万円)=2024年の登録目標に向けて、「彦根城を見れば江戸時代の日本がわかる」をコンセプトにした推薦書原案などの必要書類を完成させる。全県的な機運の醸成にも努める。
  • 米原駅を核とした観光誘客(700万円)=彦根市も入っている「まいばら駅広域観光交流圏コンソーシアム」の取り組みを支援し、米原駅を中心に二次交通の整備を促進することで、彦根など東北部の観光周遊機能を強化する。
  • 近江鉄道線活性化再生(1,024万円)=近江鉄道線の再生に向けて、沿線地域の機運醸成を図り、新たな運営体制の構築に向けた調査を行う。