彦根城博物館で行われた1回目の会議の様子

彦根市、近江ツーリズムボード、彦根観光協会、近畿日本ツーリスト関西彦根城運営管理センターなどは、彦根城と彦根城博物館を活用しながら観光振興を目指し「彦根市文化観光推進協議会」を設置。今月初めに彦根城博物館で開かれた1回目の会議では、2021年度以降の観光客を増やすための取り組みや彦根城博物館の改修方針が示された。

インバウンドと回遊性課題

昨年5月1日施行の文化観光推進法では、文化資源の保存と活用、多言語化やわかりやすい展示などによる観光客の増加、消費活動の拡大による地域経済の活性化という「文化」「観光」「経済」の全国各地での好循環を目指している。昨年11月時点で全国各地の25カ所が立案した計画が国の認定を受けている。
彦根市や近江ツーリズムボードなどは「(仮称)彦根城・彦根城博物館を拠点とした文化観光推進地域計画」の今年度中の策定を目指し、市文化観光推進協議会を設置。委員は4団体と彦根商工会議所、滋賀大学、滋賀県立大学などからの11人で構成され、1回目の会議では委員長に滋賀大学の上田雄三郎特任准教授が選ばれた。
事務局の市からは、国宝5城の2019年度の入城者のうち、彦根城が姫路城、松本城に次いで3番目の多さだった一方、外国人の入城者は彦根城が3万6093人と全入城者の4.9%で、姫路城の25.5%と比べてインバウンドが少ないことが報告された。また外国人観光客の少なさや回遊性がないことも課題にあげながら、10年後の2031年度に彦根城の入場者を90万人にし、そのうち外国人を9%に増加させるという目標が提示された。

「グリスロ」の導入検討 パンフ多言語、図録英語版も

2021年度以降の主な事業としては以下の通り。

  • 「殿様の日常生活」をテーマに井伊家当主の日常生活の具体的な様相を明らかにする研究を進め、展示や出版物で発信する。
  • 彦根城、旧城下町、佐和山城跡のストーリー性のある解説文を製作する。
  • 彦根城のパンフレットの多言語化、彦根城博物館の名宝図録の英語版を作成する。
  • グリーンスローモビリティなど新たな交通手段の導入を検討する。
  • 彦根駅、市役所前などに休憩スポットを新たに整備する。
  • 彦根城と彦根城博物館に外国人向けのキャッシュレス決済システムを導入する。
  • 宿泊施設などと連携したツアーを開発する。

今後、彦根市文化観光推進協議会は2月中か3月に2回目の会議を開き、今年度中に計画を策定して文化庁に申請。認定後の2021年度から順次、計画を進める方針だ。