彦根市内の夢京橋キャッスルロード

彦根市はこのほど、2020年の「彦根市観光の消費動向調査結果」および「観光消費による経済的波及効果の推計」を発表。新型コロナウイルスの影響で、観光客数が前年比58%減の90万人、経済波及効果が前年比半分の147億円など、いずれの数値も大幅に落ち込んだ。
市は観光事業による消費がもたらす経済波及効果を把握するため、国宝彦根城築城400年祭が行われた2007年(同年は400祭期間の250日間)から滋賀大学経済学部に調査を依頼。実施していない2014年と翌年を除いて毎年、その調査結果を公表している。

訪問地に変化なし

2020年の観光客数のうち、彦根城の入場者は前年比52%減の37万人。そのうち宿泊客が29万人、日帰り客が61万人で、それぞれの一人あたりの観光消費額は宿泊客が1万8922円、日帰り客が4011円だった。この結果、宿泊費、飲食費、土産購入費などの消費総額が79億円と推計。観光消費による経済波及額が147億円、雇用効果が666人と、いずれも大幅に減少した。 また滋賀大学は昨年の11月18日(水)・12月4日(金)の平日と、11月15日(日)・22日(日)・12月5日(土)の土日に、表門、玄宮園入り口、京橋口駐車場、四番町スクエアでアンケート調査を実施。その結果、観光客の訪問地点は彦根城・博物館・玄宮園が45%、夢京橋キャッスルロードが22%、四番町スクエアが14%で、訪問地点件数は日帰り客が1.85地点、宿泊客が2.35地点で、共に前年よりわずかに減少したが、訪問地点が3エリアだったことに変化はなかった。

「城以外の観光資源を」

アンケートの自由記述としては「街並み・環境に関すること」が最多で、次いで「ひこにゃんに関すること」「城・店舗に関すること」「観光PRに関すること」「駐車場に関すること」「土産・飲食に関すること」などが続いた。街並み・環境、ひこにゃん、城・店舗については肯定的な評価がほとんどだったが、観光PRと駐車場については「彦根城以外の観光地がわからない」「駐車料金が高い」「駐車場が少ない」との意見が多かった。
総評として滋賀大学は、昨年の観光業界が非常に厳しい状況だったとした上で「アフターコロナの社会に向けて、国内需要の獲得はもちろん、インバウンド需要をいかに獲得するかが重要。彦根城以外の観光資源の掘り起こしや交通・観光案内などの取り組みが必要」としている。