市議議定例会で考えを述べる和田市長

彦根市議会の6月定例会が今月7日開会し、初日には先の市長選で当選して以降、初の定例会にのぞむ和田裕行市長が冒頭で所信表明演説を行った。
市長はまず、最優先課題として「コロナ対策」をあげ「ワクチン接種を遅滞なく進めることはもちろん、国や県とも連携しながら彦根独自にできる支援策も早期に実行する。具体的には医療や介護現場にできる支援策をはじめ、他自治体で実施している支援策についても有効なものは導入を検討したい」と述べた。
先の市長選で訴えた「『リセット』と『復活』」のうち、「リセット」については「財政状況の悪化に拍車をかけると判断した政策はリセットする。彦根市の財政状況は危機的な状況にある。この状況を生み出した原因を徹底的に究明し、進行中の事業についてもしっかりと精査し、必要に応じて計画の見直しを検討する。国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会関連事業についても市の負担を最小限にするよう検討する」と訴えた。

教育大綱策定し「心の教育」導入 市として起業をサポート

また市長は「若い世代が出て行かず、移り住んでもらえる彦根市を目指し、財源確保のめどが立ち次第、中学校3年生までの医療費の無償化、小中学校給食の段階的無料化などの子育て支援策を実施し、近隣市町に比べて遅れている子育て環境の充実に努める」と説明。教育に関しては「先進的な事例を取り入れた新たな教育大綱を今年度中に策定し、子ども自らが目的意識を持って学び『心の教育』を導入するなど、次世代の人材育成に努める」と語った。
「復活」については、「ウィズコロナ、アフターコロナの地域活性化は喫緊かつ最大の課題だ」とした上で、観光施策に関して「アフターコロナに向けて彦根城やひこにゃんをこれまで以上に国内外に売り込むのはもちろん、それ以外の歴史遺産、観光資源、自然環境を存分に活用し、体験型・滞在型観光を進める」と解説。彦根城の世界遺産登録に対しては「緩衝地帯の開発制限などデメリット部分もしっかりと説明責任を果たしつつ、大型公共事業のハードの推進ではなく、おもてなしなどソフト分野を充実させ、一過性のブームに終わらせず、リピーターを生み出したい」と話した。
このほか「ICTは観光、商工業のどちらにも活用していく。SNSを活用した観光や物産の発信はもちろんのこと、コロナ禍でも可能なネット販売や輸出入での商工業の推進、起業の分野で市としてサポートできる体制を整える。私も自らトップセールスで国内外に彦根と彦根の物産を売り込んでいく」と力説した。
最後に市長は「コロナ対策、リセット、復活の重点政策の柱として市政を運営し、長期的には彦根市の人口増加を目標にして、若い世代、働き盛りの世代がしっかりとご年配や弱者の方を支える街、彦根を目指したい」と抱負を語った。