近年、大規模な自然災害が全国各地で頻発しています。加えて、新型コロナウイルス感染症などの自然災害以外のリスクも顕在化しています。突然襲い掛かる緊急事態を想定し、損害を最小限にとどめ、中核となる事業の早期復旧を可能にする事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)や事業継続力強化計画の策定が重要になってきています。

1. 事業継続計画(BCP)

事業継続計画(BCP)とは、自然災害や事故などのリスク発生時に事業への被害を最小限に抑え、事業の継続または早期復旧を図るための計画のことです。企業が大地震などの緊急事態に遭遇すると操業率が大きく落ちます。何も備えを行っていない企業では、事業の復旧が大きく遅れて事業の縮小を余儀なくされたり、復旧できずに廃業に追い込まれたりするおそれがあります。一方、BCPでは優先して復旧すべき中核事業を特定し、目標復旧時間を定めることで、緊急時でも中核事業を維持・早期復旧することができ、その後、操業率を100%に戻したり、さらには市場の信頼を得て事業が拡大することも期待できます。
特に日本では2011年の東日本大震災をきっかけにその重要性がますます注目されています。

中小企業庁サイト「中小企業BCP策定運用指針」より

2. 事業継続力強化計画

事業継続力強化計画は、中小企業における事業継続を目的とした防災減災対策に関する計画およびに計画の認定で支援を受けられる制度(令和元年7月制定)であり、認定を受けることで国から防災設備の導入などの支援を受けることができます。当初は「自然災害リスク」のみに限定されていましたが、昨年の改正で「サイバー攻撃、感染症その他自然災害以外のリスク」が追加されました。事業継続力強化計画は、BCPより定めるべき対応が少なく、BCPの簡易版といえます。

中小企業庁サイト「事業継続力強化計画」より

中小企業庁サイト「事業継続力強化計画」より

3. 取り組むには

BCPや事業継続力強化計画に取り組むには、①災害時のリスクの確認・認識が重要です。地元市町が公開しているハザードマップなどを活用しながら、店舗・工場などが立地している地域の災害等のリスクを確認・認識することが必要です。
その上で②初動対応の検討、③災害への対策の検討(人・物・金・情報)、④平時の推進体制の取組を検討します。例えば災害発生時の緊急連絡網の構築や、災害に強い工場づくり、定期的な避難訓練の実施や感染予防対策の実施などの取組を検討し、従業員、関係者で共有します。

中小企業庁サイト「事業継続力強化計画」より

4. 商工会議所での取り組み

中小企業相談所では、会員企業様に対し、以下の施策を進めていきますので、お気軽にご相談下さい。

  • 経営指導員および専門家による相談対応
  • BCPおよび事業継続力計画の策定と申請の支援
  • 「事業継続力強化支援計画」の認定取得による支援体制の強化