「第1回彦根企業景況等調査報告(令和3年4~6月期)」において、「重点的に取り組もうとしていること、支援を求めたいこと」の問いに、全体の約40%の企業から「自社ブランドの強化・PR」との回答をいただきました。
そこで今回は、自社のブランドを強化するために知っておきたい「ブランド」「ブランディング」の基礎についてご紹介したいと思います。
1.「ブランド」?「ブランディング」って?
「ブランド」というと、海外の高級バックやアクセサリーを連想される方が多いと思いますが、実はどんな商品・サービスでもブランドは存在します。また「ブランディング」は、名称やマークを知ってもらう「広告宣伝活動」であると認識されている方も多いかもしれませんが、それは大きな誤解です。
「ブランド」とは単に有名になった名称やマークのことではなく、その商品・サービスの魅力やこだわりを伝え認識されたポジティブなイメージであり、「ブランディング」とはブランドの価値を高めていく取り組みを言います。
2.「ブランド」の役割
「ブランド」の役割は書籍等でも色々な説明がなされていますが、代表的な例を示します。
- 顧客がどのメーカーの商品を買うか、どのサービスを受けるかを判断する差別化の目印
- そのブランドから提供される付加価値に基づくイメージの蓄積
- 顧客が「これであれば間違いがない」と判断する顧客との約束
出所:平井克幸著『ブランディングの本質 100年先につなぐ価値』
2018年12月5日発行、ダイヤモンド社より抜粋(図とも)
差別化の目印(識別の手段)だけでは弱いブランドでしかありません。強いブランドとは、顧客の心の中にポジティブなイメージを持ってもらい、絆を形成できるものです。
強いブランドを構築することで、価格競争に巻き込まれない(高い価格を設定できる)、リピート購入をもたらす、顧客が顧客を呼ぶ(口コミ)等の効果が期待されます。
3. 「ブランド」を強化するために
「ブランド」を強化するためには、自社の強みを活かせる商品・サービスを定め、自社が戦うべき市場とターゲットとする顧客を絞り込むことが必要です。誰からも愛される“巨大な”ブランドをつくることは中小企業にとっては現実的でなく、「違いが分かる顧客に、こだわりのある商品・サービスを提供する」、そんなブランドとするべきです。
またブランディングは名前を売る単なる広告宣伝活動ではなく、前述のイメージや約束を正しく伝えていくことが必要です。そのためにはブランドが目指す世界観・価値観を確立すること、すなわち「ブランドコンセプト」が重要です。強いブランドには、誰もが共通の認識として受け止めるブランドコンセプトが存在しています。逆にブランドコンセプトが弱いままブランド化に取り組んでも、一貫性が得られず、不十分なものになってしまいます。
まずは、20文字程度で貴社のブランドコンセプトを書いてみてはいかがですか。
4. 社内に向けた「ブランディング」
「ブランディング」は社外に向けた活動であると思いがちですが、実は社内に対する効果も重要です。自社のブランド価値が向上することは、そこで働く社員にとってもモチベーション(やる気)やロイヤリティ(忠誠心)の向上につながります。
また自社への注目が高まることで、社員の行動も変化していくことが期待されます(「俳優さんが綺麗でい続けるのは、常に周囲から見られているため」という理屈です)。
またブランド強化には社員の協力が不可欠であり、全社一丸となって取り組まなければなりません。
社内に向けたブランディングは、製造業のようなBtoB企業においては特に重要です。
5. 終わりに
以上のように「ブランド」の強化のためには、自社の強みを把握し、自社が進むべき市場と顧客を限定し、ブランドコンセプトを策定することが必要です。ブランドの強化に取り組みたい方は、ご相談に応じますので、ご一報ください。