新型コロナウイルス感染症の拡大から2回目のお正月を迎えました。この間、緊急事態宣言に伴う不要不急の外出・移動の自粛等の影響により中小企業の景況感は急激に悪化しました。一方、テレワークの普及や新しい生活様式の定着など我々の生活も大きく変わってきています。ピンチはチャンス!今こそ変化を機会と捉え、事業を見直し新しい時代へ飛躍しましょう。

チャールズ・ダーウィン 晩年の肖像

生き残るためには変化すること

進化論を唱えたダーウィンの言葉として「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である。」という有名な一節が知られています(実際は別人の解釈が流布したという話もありますが)。コロナ禍という未曽有の危機において、特に体力のない中小企業等が生き残るためには、環境の変化に合わせて自らが変わっていかなければなりません。

コロナ禍における外部環境の変化

コロナ禍において我々の生活は大きく変化しました。例えばオンラインでの商談・営業の増加や、Web会議やテレワークの割合が増え、デジタル化の重要性が再認識されています。社会生活においては、外食や買い物の機会が減り、あらゆる物が“ポチっ”とすることで購入できるネットサービスの需要が高まりました。またDX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素社会への移行など、産業構造の転換を促す潮流が世界的に強まってきています。

これまでとこれから

我々は時代の環境変化に合わせて自らが変わっていかなければなりません。コロナ禍というアゲンスト(向かい風)が吹くなか、しゃにむに前に向かっても進むことは難しい場合があります。そんな時振り返ればアゲンストはフォロー(追い風)になります。それまで培ってきた自社の強みを活かしつつ、コロナ禍で新たに生まれた需要や増加する需要を取り込み、新たな事業に取り組むことで飛躍するチャンスとなります。

飛躍のための支援策

そんな事業モデルの転換を支援するのが昨年に創設された「事業再構築補助金」です。ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することを目的としています。補助金額が大きい(通常枠:100万円〜8,000万円)こともあり、採択されるには詳細かつ具体的な事業計画書の作成が必要ですが、第1回から第3回までの公募に対し26,373社が採択されています(全体の採択率41.6%)。採択された企業の事業計画書が公開されていますので、一部を紹介いたします。詳しくは事業再構築補助金ウェブサイトから確認いただけます。


【飲食業】(株)中心屋(和歌山県)

当社は、外食事業(居酒屋、焼肉屋)と、ヘルスケア事業(病院や介護施設内の厨房委託)を行っていたが、コロナ感染症拡大の影響で昨年比50%未満の売上しか達成せず危機的状況に陥った。
そのため当社の強みである「人材育成力」や「病院委託事業で獲得した調理ノウハウ」等を活かし、フランチャイズを利用して、高齢者への配食サービス事業に進出することとした。 地元地域の高齢化は進んでおり、民間高齢者配食サービスは、今後より一 層の市場拡大が見込まれている。

【宿泊業】十勝シテイデザイン(株)(北海道)

観光・ビジネスを目的とした個人利用者向けのホテルを運営しているが、新型コロナウイルスの感染拡大により大きな打撃を受けた。そのため駅前から徒歩3分以内という利便性や付加価値サー ビスの提供、周辺地域資源の活用等の当社強みを活かし、コロナ禍で生まれてきた新しい事業機会である「ワーケーション関連事業」に着目し、首都圏企業等によるワーケーション滞在の新規獲得に特化したコワー キング機能付宿泊施設を開業する。

出所:中小企業庁「事業再構築補助金」採択事例紹介を基に作成


中小企業相談所から一言

彦根商工会議所では、皆様の現事業の見直しから事業計画の策定、経営革新や事業再構築に向けた取り組みなど、伴走支援させていただきます。ニューノーマルの新時代、彦根の産業振興とよりよい地域づくりのために、これからも中小企業様の飛躍を応援します。会員の皆様におかれましては、当所を経営に関する「かかりつけ医」として、お気軽にご相談ください。