妖怪を説明する連藤さんと杉原正樹さん

ショウケラ、白馬の首、大入道…、彦根地域で伝承や記録に残る「淡海の妖怪」たちのイラストを並べたまちなか博物館の企画展が今月23日から、彦根市本町の夢京橋あかり館で始まった。「世界が尊敬する日本人100」(2006年「Newsweek」)に選ばれた彦根出身の造形作家・安居智博さんのカミロボなども同時展示されている。 県内在住のイラストレーターの連動久美子さんが描いた掛け軸と額装の妖怪の絵23点を展示している。
妖怪のうち江國寺(本町)の大入道は、月夜に江國寺前を通ると大入道の影が前方を歩いたり、雨の夜には傘の上にのしかかって押さえつけたりするという話が伝わったという。彦根藩士の大村新弥は大坂の陣の軍功で彦根藩第2代・井伊直孝から屋敷を賜ったが、出世をねたんだ者の作り話を信じた直孝によって幽閉され、悲憤のあまり妻と共に自刃。その後、作り話だったことを知った直孝が大村夫妻の菩提を弔うため、屋敷跡に江國寺を建立したが、大村夫妻の死後、大入道が出現するようになったという。
彦根城下に出た妖怪としては「白馬の首」「一つ目小僧」「釣瓶落とし」などを江戸時代の様子を表した絵図の彦根御城下惣絵図と一緒に展示。彦根市内では清凉寺の本堂前にある樹齢700年以上のタブの木が女に化ける「木娘」や、庚申の日に現れる宗安寺の「ショウケラ」、人々の病毒を代わりに引き受けた瘡守(かさもり)稲荷の「老弧」なども登場している。
旧四十九町の町人だった田中藤助の宝暦9年・1759年7月21日付の日記(彦根市立図書館蔵)には、越中国(富山県)で出たという全長約10.6mのチョウのような人間を解説した「人蝶」を絵と一緒に説明している。
彦根藩第12代・井伊直亮のコレクション作品「河太郎図」の複製(原本・彦根城博物館蔵)は、手足に4本の指、黒くとがった爪、指の間に水かき、おかっぱ頭が河童の絵が描かれている。
徳源院(米原市)の幽霊図は長浜の画家・清水節堂(1876~1951)が描いた作品。抜け出してくるようなリアリティーが特徴的で、幽霊画の中でも傑作品と言われている。

パイロンマンの隣で安居さんとカミロボ

コーナーの一角では、彦根出身の造形作家・安居智博さんが紙で作ったカミロボや百均グッズで作ったヒーローもの計48点、カラーコーンで作ったパイロンマンも展示されている。
琵琶湖岸に打ち上げられたガラスのかけらのレイクグラスの展示と回収も受付ている。
開館時間は午前9時半から午後5時半まで、火曜日定休。幽霊図が8月31日まで、日記「人蝶」が9月23日まで。終了時期未定。入館料は高校生以上270円、小中学生130円。展示図録付き。お問い合わせは、夢京橋あかり館 ☎0749-27-5501。