彦根城の世界遺産登録が、目標にしていた2024年から1年遅れることが明らかになった。文化庁からの報告を受けた滋賀県が今月3日に発表した。
滋賀県と彦根市は2024年の世界遺産登録に合わせ、年内に国内推薦を得るため、今年6月末に推薦書素案を文化庁へ提出していた。
しかし7月末に、すでに国内推薦を得て登録間近と見られていた新潟の「佐渡島の金山」について、世界遺産登録を審議する国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が推薦書の「不備」を指摘。これを受け、国は来年2月までの推薦書の再提出を決定し、当初予定されていた佐渡島の金山の来年の登録が事実上なくなった。
滋賀県によると、文化庁から県に対して今月1日、2022年度は佐渡島の金山の推薦書をユネスコへ再提出するため、新たな国内推薦を行わないとの連絡があったという。
滋賀県と彦根市は今後、国にこのような状況になった経緯の説明を求めながら、1年後の2025年の登録を改めて目指す意向を示している。

世界遺産シンポの動画公開 元長官ら招き都内で先月開催

都内で開かれたシンポジウムの様子(滋賀県提供)

滋賀県と彦根市で組織の彦根城世界遺産登録推進協議会は、7月3日に東京都の建築会館ホールで開いたシンポジウム「世界史における近世城郭の意義」の模様をYouTubeで公開している。
シンポジウムでは、元文化庁長官の青柳正規さんが「今、彦根城を世界遺産に登録する意義」について、京都女子大学の母利美和教授が「江戸時代の平和と彦根城の歴史」をテーマに、筑波大学の稲葉信子名誉教授が「彦根城の顕著な普遍的価値とは」を題に講演。後半ではほかの専門家を交えたパネルディスカッションが行われた。

シンポジウムの模様はこちら - YouTube