彦根市は2023年度の当初予算案を発表。一般会計は前年度比3.7%減の479億1100万円となった。
ふるさと納税の増加による返礼品が増えたことに伴う総務費、金城こども園(仮称)の整備による民生費、大型投資事業の財源として発行した市債の償還に関する公債費が増加する一方、県の原松原線事業の負担減に伴う土木費、彦根市スポーツ・文化交流センター建設工事費の減少や彦根中学校の校舎増築完了による教育費が大幅に減少することから、前年度と比べてマイナス予算となる。
歳入のうち、自主財源の大半を占める市税はコロナ禍の影響から経済情勢が回復しつつあるため、個人市民税と法人市民税がいずれも増収する見込みで、市税全体で前年度比3.2%増の181億8938万円となる。
地方消費税交付金や県支出金は増加したが、地方交付税や市債が減少したため、依存財源としては全体で約19億円の減少に。一般会計の歳入に占める比率は自主財源が52.7%、依存財源が47.3%となる。
借金にあたる市債は市スポーツ・文化交流センターの事業費の減少や彦根中学校校舎の増築完了、原松原線事業の負担金減少などから、前年度比41.9%減の35億6180万円の発行に抑えた。2021年度の市決算では実質公債費比率が6.0%と前年度の6.6%から改善しているが、彦根市財政課は「広域ごみ処理施設など大型投資事業が続くため、今後は実質公債費比率が悪化すると思われる。市債の増加は財政が硬直化する要因にもなるため、その発行が必要な投資的事業は緊急性や投資効果を検証しながらの判断が必要になる」とコメントしている。
貯金にあたる基金は財源不足を確保するため、特別会計を含め総額で29億円を取り崩す予定。特に融通がきく財政調整基金の残高は今年度の約24億円から約2億円まで減る見通し。
2023年度当初予算案の主な事業と経費は以下の通り。
- 彦根城世界遺産登録推進事業(1764万円)
- 彦根城天守の耐震補強の2年分の1年目(3723万円)
- 内堀沿いの藩士屋敷(脇家長屋門)跡を公有地化(2324万円)
- 映画やテレビ番組のロケ地誘致へ彦根市ロケーション誘致アンバサダーを新設(14万円)
- 松原湖岸での花火フェス開催(600万円)
- プロシードアリーナ HIKONEの追加分の駐車場等の外構整備(1億8865万円)
- 旧ひこね燦ぱれすの図書館化の設計(211万円)
- ごみ焼却場の大規模修繕の4年分中の3年目(14億6316万円)
- 市道・立花船町線の道路改築と護国神社前の交差点改築事業(1億2358万円)
- 近江鉄道沿線地域公共交通再生事業(6930万円)
- JR稲枝駅周辺整備(2558万円)
- 彦根駅西口駅前広場整備(361万円)