滋賀とミシガン友情の絆

1968年、滋賀県とアメリカミシガン州は姉妹提携を結んだ。湖を有する県・州の特徴を生かした自然環境の保全・保護に重点を置き、経済・生活文化を中心とした住民相互の友好親善を推進することが目的である。当時の野崎欣一郎滋賀県知事の熱い思いが実現化し、同年11月にミシガン州の州都ランシング市にて、ロムニー知事と姉妹提携協定書に調印した。
翌年には、大津市とランシング市をはじめ、彦根市とアナーバー市など県内の市町もミシガン州内の諸都市と姉妹提携を結んだ。市民を含めた大規模な使節団が互いの国を訪問、学校教員の交換派遣、県職員の海外長期派遣研修生(現地駐在員)、高校生相互派遣プログラムなど交流の機会が増えていった。
その姉妹提携20周年を記念して1989年にミシガン州立大学連合日本センター(JCMU:THE JAPAN CENTER for MICHIGAN UNIVERSITIES)が彦根市松原町に設立された。
滋賀県が施設を整備し、ミシガン州立大学連合が運営、公益財団法人滋賀県国際協会(県より委託)が施設の維持管理、各種プログラムの運営支援を行う画期的な国際交流事業で、日米双方の人々がともに語学や文化、習慣などについて相互の理解を深めてきた。存続の危機もありながら、それまでの友好親善をベースにさまざまな人たちの努力や工夫が重ねられ、滋賀県とミシガン州との架け橋になる人材が育っていく。そんな貴重なプログラムとして、現在も友好関係を支えている。JCMUのプログラムは、主に4つある。

  1. ミシガン州の学生に日本語や日本文化などを学んでもらう講座
  2. 日本人向けの英語講座
  3. 地域との交流プログラム(ハロウィンパーティーなど)
  4. 日本での研究活動を助ける共同研究

双方にとって学びがあるプログラムになるように工夫し、JCMUの学生と地域住民の交流も積極的に進めている。
日本の中でもJCMUのような施設は、あまりなく、アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター(IUC横浜)や京都の同志社大学内にスタンフォード大学日本センターがあるに留まっている。このJCMUは、今年設立35周年を迎えるが、これまで両国合わせて8千人を超える学生が学び、文化交流などを行ってきた。

彦根商工会議所と連携協定締結

2014年に彦根商工会議所は、JCMUと「産学連携に関する業務連携・協力に関する協定」を締結した(詳細は、「不易流行」2014年4月号)。協定の概要は次の通り。

  1. 当所会員に対する国際化教育に関すること
  2. センター留学生に対する日本文化・社会及び風習の教育に関すること
  3. 教育・文化の振興、生涯学習に関すること
  4. 彦根市の国際化・国際交流の相互推進に関すること
  5. 相互に連携することが必要と認められる事項に関すること

これまでにビジネス英会話教室や留学生との交流会「彦根&ミシガン国際交流会」をセンターロビーや琵琶湖での船上パーティーとして、バンド演奏や日本の食材などで交流を図ってきた。
今後は、インターンシップ事業やホームステイ事業、国際交流事業を通して、JCMUの存続などを後方から支援していきたい。

書道体験

インターンシッププログラムの創設

JCMUの短期留学が縁で、日本で家庭を持ったベンジャミン・マクラケン所長は、「1998年9月から翌年4月までの8カ月間、JCMUで学びました。その後、弁護士として、日本企業も関わる国際訴訟を担当し、毎年日本を訪れるようになりました。JCMUの経験があってこそ、今の自分があります。2012年にJCMUの所長に就任し1年で戻るつもりでしたが、学生たちに自分と同じようなチャンスを与えたい、役に立ちたいと、運営に力を注ぐうち、帰国はどんどん先延ばしになってしまいました。JCMUは、人が人と出会い、相互理解を深める場。滋賀の人たちにとっても、海外に行かなくても米国の学生と出会える、大切な場所なのです。滋賀県とミシガン州の関係のみならず、修了生はミシガン州で日系企業に就職したり、外務関係の職に就いたり等、日米の架け橋となっているケースも多くみられます」と話す。
今般、JCMUでは、2025年春学期から15週間にわたって滋賀県でのインターンシッププログラムを創設するべく進めている。
本インターンシップを通じて、学生に日本のビジネスの手法や商環境を学んでいただき、日米両国(滋賀県とミシガン州)のさらなるビジネス面での友好関係の礎を築いていくことを目指している。また、SNSを利用して学生たちに滋賀県や日本の文化を発信していただき、地元の観光や特産品の紹介に貢献できればと考えている。
具体的には、次のとおりである。

1. 期間

2025年1月中旬から4月上旬の13週間。毎週水曜日と木曜日。
*週1回にまとめるか、2回に分けて行うかは受け入れ企業と相談。

2. 時間

1週間あたり7~8時間のインターンシップを13週間で行う。
1週当たりの時間は業務内容等により、柔軟に対応。学生の単位取得のため、合計90時間が必須になるので協力を願いたい。2026年1月からは週3日(合計270時間)を予定。

3. 対象となる学生

JCMUで日本語最上級レベルの4年生の学生。受け入れ企業の求められる学生の特技、技能を事前に伺い、見合った学生をご紹介予定。
インターンシップのない日は、JCMUにて上級日本語(ビジネス日本語も含む)、及び日本でのビジネスマナーや商習慣と滋賀におけるビジネスの歴史等を学ぶ予定。

4. 受け入れ企業募集期間・方法

随時登録受付をしている。
インターンシップ担当佐藤様(ysato@jcmu.org)まで連絡を。
「インターンシップ受け入れ希望」と件名に記載のこと。

5. 受け入れ先の例

ホテル業、酒造業、観光業、レストラン業

JCMU学生の声

  • 私たちにとって、ここは「夢を目指す場所」。JCMUがなかったらこんなに日本語を話せるようになっていなかったと思う。
  • 将来、日本の会社で働きたくて日本語を勉強している。3年前、高校生の時に愛媛県に留学したが、もう一度日本で学びたいと思い今回の留学にも参加した。
  • 高校生の時、ミシガン州と滋賀県の留学プログラムで滋賀に来たことがあった。JCMUのおかげで、こうしてまた日本に来るきっかけをいただいた。
  • 大学での副専攻が日本語である。日本に来ることがずっと夢だったので、とてもうれしい。和食を食べたり、日本人の友達をたくさんつくったり、色々なことをした。
  • 小さい頃から、日本語が話せるようになりたかった。JCMUのおかげで、こうして念願の日本語を勉強することができ、うれしく思う。
  • 語学を専攻し、3年間日本語を勉強しており、将来は研究者になりたいと思っている。
  • 6年前に長野県に行ったことがきっかけで、もう一度日本で学びたいと思いJCMUに来た。
  • インターンシップで大津のミシガンクルーズに乗船したのがとてもいい経験になった。

滋賀県とミシガン州との国際交流を応援しよう!!

JCMUは9月に設立35周年を迎える。国際交流の取組やセンター施設の老朽化対策に活用するため、このたび、滋賀応援寄付(ふるさと納税)のメニューに『2024滋賀県とミシガン州との国際交流を応援しよう』が創設された。
施設の長寿命化対策のため、ぜひ支援を願いたいものである。

ホストファミリーも募集中!

JCMUでは留学生を対象に、日本の家庭に滞在しながら、JCMUに通学する2つのホームステイプログラムを実施している。このプログラムにご協力いただけるホストファミリーを随時募集している。

1. 長期ホームステイ ホストファミリー

受け入れ期間
秋学期(9月~12月)、春学期(1月~4月)、夏学期(6月~8月上旬)の各学期のうちの1か月以上の間
受け入れ費用
1ヶ月につき51,000円をホストファミリーにお支払い。
受け入れ条件
単身でない家庭であり、かつ学生の受け入れに関して家族全員の同意が得られること。個室を学生に提供していただけること。
JCMUまでの通学所要時間が片道約1時間以内の範囲にお住まいの家庭であること。

2. 週末ホームステイ ホストファミリー

受け入れ期間
金曜日の夕方から日曜日までの2泊3日
受け入れ日
年に3回程度 (毎年2月・7月・10月頃:センター指定日)
受け入れ費用
学生の個人的な費用(こづかい等)以外は、全てホストファミリーにてご負担。
受け入れ条件
基本的には、長期ホームステイに準ずるが一部異なるので、個別問合せを。

ミシガン州立大学連合日本センター(JCMU)