彦根商工会議所では、会員企業の景況や経営課題などを四半期ごとに調査する「彦根企業景況等調査」を実施しております。このほど第14四半期(令和6年7〜9月期)の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
本調査では、当所会員を対象に売上高、仕入・販売単価、従業員・資金繰り等について前年・前期比並びに来期見通しをDI(ディフュージョン・インデックス)値で示すとともに、自社の経営課題等も調査項目にしております。
調査方法:彦根商工会議所会員企業130社にメールまたはFAXによる
調査対象期間:令和6年7月~9月
集計・分析(委託先):中小企業診断士 中川 学 氏
回答企業数:81社(回答率62.3%)
建設業 | 製造業 | 卸小売業 | 飲食業 | サービス業 | 合計 | |
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回答数 | 13 | 18 | 13 | 12 | 25 | 81 |
業種別比率 | 16.1% | 22.2% | 16.1% | 14.8% | 30.8% | 100.0% |
※本調査でのDI(ディフュージョン・インデックス)「増加(好転・上昇・過剰等)」と回答した企業数の構成比から、「減少(悪化・低下・不足等)」と回答した企業数の構成比を差し引いた値である。
※今期(前期比):令和6年4月~6月と比較した令和6年7月~9月の状況
※昨年比:令和5年7月~9月と比較した令和6年7月~9月の状況
※次期:令和6年7月~9月と比較した令和6年10月~12月の見通し
総括的概要
- 前回調査時(4-6月期)の次期見通しに比べ、5~10ポイント悪化。次期は好転の見通し。
- 仕入単価の上昇は継続するが、販売単価は不変。
- 原材料費、人件費、経費の増加に対して販売価格転嫁により対応した事業者が増加。特に建設業は倍増。
- 従業員の確保難に対して待遇の改善により対応した事業者が増加。
1. 全体の景況等
サービス業、飲食業に続き、製造業で回復の兆し。次期には「業況判断DI(好転-悪化)」、「売上高DI(好転-悪化)」、「採算DI(好転-悪化)」ともに好転する見通し。ただし、建設業においては厳しい状況が続く。
「仕入単価DI(上昇-低下)」は約半数の事業者が上昇と回答も、「販売単価DI(上昇-低下)」は3/4の事業者が不変と回答。継続的な価格転嫁の難しさがうかがえる。「資金繰りDI(容易-困難)」「従業員DI(過剰-不足)」は、3/4の事業者が不変と回答。次期も継続する見通し。
原材料費、人件費、経費の増加の問題解決に当たっては6割の事業者が販売価格の転嫁により対応。販売価格の転嫁に当たっては、それぞれの業種ごとに応じた対応がとられた。従業員の確保難の問題解決に当たっては、従業員の待遇改善により対応した事業者が多かった。
問題解決に当たって支援を受けていないとの回答が過半数であったが、支援を受けた事業者においては商工会議所、コンサルティング会社からの支援を受けたとの回答が多かった。
2. 業種別の景況等
建設業
売上高、採算は今期さらに悪化した。原材料費、人件費、経費の増加に対して販売価格転嫁により対応した事業者は前年調査時よりも倍増。販売価格への転嫁に対応できていないとした事業者が減少し、既存顧客との関係強化、販売促進の強化により対応した事業者が増加した。
その他意見
- 公共工事の単価が低すぎて、市場単価に見合わない。
製造業
大きく改善し売上高は好転と悪化が同数となった。次期は売上高、業況判断、採算ともに好転する見通し。販売価格転嫁、生産性の向上、従業員の待遇改善に対応した企業が増加した。
その他意見
卸小売業
業況判断、採算はマイナス幅を縮小、売上高は悪化したものの次期には好転する見通し。契約関係の見直し、顧客への価値訴求により販売価格の転嫁に対応し、在庫管理の最適化により原材料費高騰に対応した。従業員の確保難に対しては就業環境の改善・整備により対応した事業者が増加した。
その他意見
- 原材料費が高騰しているにもかかわらず、県や市の入札価額が対応してくれていない。
- 零細企業には連続の最低賃金の見直しは非常に厳しい。企業側にも対応する救済策が講じられるべき。
- 世界遺産より今の彦根を考えてほしい。
飲食業
売上高は前期に好転に転じ今期は不変。採算も好転に転じた。仕入単価の上昇は継続しており次期への不安が残る。原材料費、人件費、経費の増加に対して販売価格の転嫁、仕入先の見直しにより対応。販売価格への転嫁に対してはサービスの付加、新商品開発、販売促進の強化を行った。従業員の確保難に対しては求人広告の拡大により対応した。対応に当たり支援を受けた事業者の約半数はコンサルティング会社の支援を受けたと回答。
その他意見
- 飲食店向け仕入れ価格の上昇緩和対策を求む。
サービス業
売上高は好転、業況、採算はほぼ不変。次期も不変が継続する見通し。サービスの付加、既存顧客との関係強化により販売価格転嫁を行い、原材料費、人件費、経費の増加に対応している。対応に当たってはコンサルティング会社の支援を受けた事業者が増加した。
その他意見
- 助成金についての情報提供が欲しい。
- 物価上昇は経済成長の兆し。ただし早く中小企業に到達するよう対策しないと時間がない。