地元住民のみならず、県外からも多くの人が足を運ぶ銀座商店街の人気店「フレーバー」。祖父母がこの地でお店を開いて以来、ずっと愛され続ける秘訣を3代目馬場康爾(ばばこうじ)さんに伺いました。
3年前に父からオーナーを引き継ぐことになったのですが、丁度コロナ禍の影響で客足が遠のいてしまっていた時期で、毎日先が見えず、不安な日々を過ごしました。
当時はひたすら、〝良い方向に持っていかないと〟という思いから、新たなテイクアウトメニューの充実、SNSの運用開始、スーパーやイベントへの出店、人件費やコスト削減などに取り組みました。努力した甲斐があり、今ではお客さまが戻るだけではなく、かつて2割だった新規客が半分を占めるようになったことは嬉しかったです。
人気No.1のハンバーグや老若男女にご注文いただくオムライスなど、様々なメニューに使用するデミグラスソースは秘伝のレシピで、昔ながらの味を大切にしています。
あとは、〝真心を持った接客〟です。フレーバーでは決められたマニュアルはなく、「水が減っているな」「寒そうだな」といった、お客さまへの気配りを自ら考え行動する接客を最も大切にしています。長年フレーバーを支える谷川さんを目当てに訪れるお客さまもいらっしゃいます。
また、岡山県から長野県への旅行の最中にわざわざ当店へ立ち寄っていただいて、満足していただけたのか、翌年にまた当店だけのために訪れていただけたことは、印象深い思い出です。
これまでは店やスタッフを守ることに必死でしたが、ようやく最近、店舗備品のリニューアルや新メニューの開発などに着手できるようになり、お店づくりの楽しさを感じています。今後もイベントの出店など、色々なことに挑戦していきたいと思っています。
一緒に厨房に入ってくれている父や、スタッフの意見を聞きながら、変えるべきところは変えて、守るべきところは守って次の70周年に向けて歩んでいきたいと思います。
今回の取材では、歴史ある人気店としての魅力は勿論のこと、康爾さんのお人柄にも引き込まれた。「料理人として、忙しくとも妥協のない提供を目指したい」というストイックさを持つ一方、お茶目で話しやすい康爾さん。独自のカラーで進化を続ける同店に今後も注目したい。
(編集部)
WEB版限定! 店内の様子を写真でご紹介!
テーブルやソファだけでなく、砂糖入れや電灯など“レトロ風“ではなく本当のレトロを体験できる。最近は店内を背景にメロンソーダやこだわりプリンなど、映えの写真を撮るお客さんも増えているそう。
店内の様々な場所に可愛い小物が並んでいる。
康爾さんイチオシのキャラクターフィギュア。
フレーバーの常連さん(高校球児達)から貰った記念品。
2階は個室仕様にもなっており、忘年会や歓送迎会、講習会など団体利用も可能(要予約)。メニューも予算に合わせて提供してくれる。