彦根商工会議所では、会員企業の景況や経営課題などを四半期ごとに調査する「彦根企業景況等調査」を実施しております。このほど第16四半期(令和7年1〜3月期)の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
本調査では、当所会員を対象に売上高、仕入・販売単価、従業員・資金繰り等について前年・前期比並びに来期見通しをDI(ディフュージョン・インデックス)値で示すとともに、自社の経営課題等も調査項目にしております。
調査方法:彦根商工会議所会員企業130社にメールまたはFAXによる
調査対象期間:令和7年1月~3月
集計・分析(委託先):中小企業診断士 中川 学 氏
回答企業数:80社(回答率61.5%)
建設業 | 製造業 | 卸小売業 | 飲食業 | サービス業 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
回答数 | 15 | 22 | 15 | 12 | 16 | 80 |
業種別比率 | 18.75% | 27.5% | 18.75% | 15.0% | 20.0% | 100.0% |
※本調査でのDI(ディフュージョン・インデックス)「増加(好転・上昇・過剰等)」と回答した企業数の構成比から、「減少(悪化・低下・不足等)」と回答した企業数の構成比を差し引いた値である。
※今期(前期比):令和6年10月~12月と比較した令和7年1月~3月の状況
※昨年比:令和6年1月~3月と比較した令和7年1月~3月の状況
※次期:令和7年1月~3月と比較した令和7年4月~6月の見通し
総括的概要
- 今期は多くの事業者で、業況判断DI、売上高DI、採算DIが悪化したものの、次期には好転する見込み。
- 卸小売業の仕入単価DIが上昇してきている。飲食業の資金繰りDI、サービス業の従業員DIがやや厳しい状況にある。
- 「労働条件明示事項」ルール改正について、製造業・サービス業は対応が進む一方、飲食・建設業は未対応が多く、理由は「未雇用」と「内容未把握」が主。
1. 全体の景況等
今期は「業況判断DI(好転-悪化)」「採算DI(好転-悪化)」「売上高DI(好転-悪化)」のいずれもマイナス幅を拡大したが、次期にはすべての業種を通して回復の兆しが見える。 「仕入単価DI(上昇-低下)」は約半数の事業者が上昇、約半数が不変と回答。「資金繰りDI(容易-困難)」「販売単価DI(上昇-低下)」「従業員DI(過剰-不足)」はほぼ不変。
2. 業種別の景況等
建設業
売上高DI、業況判断DI、採算DIはマイナス幅を拡大した。仕入単価DIは上昇を続けているが次期にはやや鎮静化の見込み。資金繰りDI、従業員DIはほぼ不変。
製造業
業況判断DI、売上高DI、採算DIはマイナス幅を拡大した。次期には業況判断DIは好転する見込みであるが、売上高DI、採算DIはマイナス幅を縮小するものの悪化が継続する見込み。販売単価DIおよび仕入単価DIは今期、来期と上昇する見通し。資金繰りDI、従業員DIはほぼ不変。
卸小売業
売上高DI、業況判断DI、採算DIはマイナス幅を拡大。特に採算DIの悪化度合いが大きいのは、仕入単価の上昇が拡大してきていることによるものと考えられる。次期には売上高DI、業況判断DI、採算DIのいずれもマイナス幅を大きく縮小する見込み。販売単価DIも上昇見込みであり従業員雇用難が懸念される。
飲食業
業況判断DI、売上高DI、採算DIは、今期は悪化したものの次期には再び好転する見込み。資金繰りDIは前期より回復したものの、厳しい状況にある。
サービス業
今期、業況判断DIが好転し、売上高DI、採算DIも次期には好転する見込み。従業員雇用難は深刻で、次期も継続する見込み。仕入単価DIの上昇が見込まれる。
3.「労働条件明示事項」に関するルール改正について
「労働条件明示事項」ルール改正について、製造業、サービス業は対応している事業者が多かったが、飲食業、建設業は対応していない事業者が多かった。対応していなかった理由としては、1/3の事業者が従業員を雇用していないためであり、改正の内容を把握していない事業者も半数あった。対応している事業者の多くは、書面で明示することにより対応していた。 労働条件明示事項に関する説明会をしてほしいとの意見があった。
昨年4月に「労働条件明示事項」に関してルール改正が行われましたが、対応されていますか。
回答 | 合計 | 建設業 | 製造業 | 卸小売業 | 飲食業 | サービス業 |
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1. 対応していない | 50.0% | 66.7% | 31.8% | 46.7% | 83.3% | 37.5% |
2. 対応している | 50.0% | 33.3% | 68.2% | 53.3% | 16.7% | 62.5% |